2019 ファストトラックリリースは、今年最初の Enterprise Platform リリースです。
本ブログ記事では、2019 ファストトラックリリースによる、業務アプリケーションの更なる高度な自動化、UiPath Connect! および UiPath Go! の最新情報ならびに Orchestrator Mobile アプリのアップデートを含む、UiPath 製品群の最新情報をお伝えいたします。
人工知能 (AI) による自動化機能、ユーザーエクスペリエンス、セキュリティおよびスケーラビリティの改善ならびに Time to Value (価値創出までの時間)の短縮を目的とした追加機能を利用し、プラットフォーム全体を通して「オートメーションファースト」時代をさらに進めるための一歩を踏み出しましょう。
今回のリリースにおける注目の機能と、役割に応じたアップデート内容をご紹介します。
注目機能
人工知能 (AI) 機能
UiPath のロボットには新たな AI 機能が追加され続けており、さらに複雑で認知的なプロセスを自動化できるようになります。こうした実用的な AI 機能は、お客様が抱く現実的な課題の解決に役立ち、投資回収率 (ROI) を急速に向上させます。今回のリリースでは、AI 機能についての 2 つのわくわくするアップデートがあります。
コンピュータビジョン*
コンピュータビジョンによって UiPath のロボットは文脈に応じた視認が可能になり、人間と同じように画面を読み取れるようになりました。これにより、ワークフローの再現性が向上し、従来の自動化方法があまり効果的ではなかった種々のインターフェイス (UI) における自動化が可能になります。例えば、コンピュータビジョンにより UiPath Enterprise RPA Platform の機能が向上することで、Citrix、VMware ならびに Windows リモートデスクトップなどの VDI (仮想デスクトップ基盤) 環境の利用を含む処理の自動化が一層効率的になります。
ドキュメント処理フレームワーク (Document Processing Framework)
ユーザーから多く寄せられる要望の一つに、ドキュメントの効率的な処理を可能にすることが挙げられます。多くのプロセスにおいて、例えば数百ページにわたる、大量のドキュメントが含まれることがあります。こうした大量のドキュメントの処理は、完全に業務上の課題であると思われがちですが、実のところ戦略的で極めて影響の大きい作業であることが少なくありません。こういった処理に、ロボティック プロセス オートメーション (RPA) を適用することで、お客様の最終損益に多大なインパクトをもたらすことができます。
ドキュメントの処理に関する課題の解決をサポートするために、UiPath は新しいドキュメント処理フレームワークをご提供します。このフレームワークは、非構造化データ (定型的に扱えないデータ) のドキュメント・デジタル化、分類および抽出を可能にし、ドキュメント処理の自動化をアシストします。ドキュメント処理は、最新バージョンの UiPath 検証ステーションによっても強化され、人間参加型 (human-in-the-loop) の検証が可能となりました。
ユーザーエクスペリエンスの向上
製品アップデートの際には、ユーザーエクスペリエンスの向上にフォーカスをあてており、UiPath Platform をより簡単にご利用いただけるように改良を重ねています。UiPath 製品は、開発者や、管理者、セキュリティプロフェッショナルおよびエンドユーザーなど、幅広い層のユーザーにご利用いただいています。今回のリリースでは、いずれのユーザーにも役立つ機能改善を行いました。
開発者向けアップデート
全世界で30万人を超える UiPath ユーザーの開発者の開発時間の短縮を目指し、次の改善を加えました。
Git との連携
ソフトウェアの開発においては、チームマネジメントや変更管理も、コーディングと同じくらい重要です。UiPath は世界中の開発者の生産性を高めるため、Studio を Git と連携させました。GitHub は Git の技術をベースにした製品で、3,100万人以上の開発者によって使用されている、世界で最も人気のあるバージョン管理システムです。SVN や TFS と同じように、開発者は Git を使用して、どのコードを、いつ、誰が変更したのかを確認することができます。
ワークフローの差分表示
また、開発者向けに追加された他の機能として、1 つの Studio のインスタンス内で 2 つのバージョンのコードを比較し、強調表示された差分を確認できるようになりました。変更したくない箇所があれば、簡単に前のバージョンに戻すことができます。この新機能により、世界中に散らばったチーム間の開発作業がよりシンプルとなり、コードの共同開発や、問題の迅速な発見や解決が可能になりました。
ウェブサービスライブラリ
ワークフローからの REST および SOAP ベースのウェブサービスの呼び出しが容易になりました。ウェブサービスライブラリの利用により、ウェブサービスメソッドの同じ組み合わせを用いて、アクティビティを異なるプロジェクト間で再利用することができます。
正規表現ビルダー
正規表現ビルダーにより、アクティビティウィザードを介して、テキストから日付、数字ならびに請求書エンティティなどといった関連情報をより簡単に抽出できるようになりました。
グローバル設定
複数の設定ファイルから手動で編集を行う煩雑性を減らすために、1 つの場所からプロジェクト、ライブラリ、ワークフローならびにその他の Studio の設定の編集が可能になりました。
Studio アジリティパック
Studio アジリティパックにより、1 つのワークフローから別のワークフローへのアクティビティのコピー、引数名の変更、コードの再構築、引数または変数の作成、または自動初期化を行う際の、変数または引数の管理がさらに容易に行えます。
パッケージ管理機能の改善
複数のプロジェクトにおいて使用されているパッケージに対する、Studio またはコマンドラインのいずれかからの一括変更がサポートされるようになりました。また、パッケージはセマンティックバージョニングにより命名規則に則って管理されます。すべての依存パッケージならびにサブパッケージは、プロジェクトパネル内で NuGet 解決されたものとそうでないものとでグラフィック表示により分けられているため、簡単に確認することができます。
管理者向けアップデート
今回のリリースでは、Orchestrator におけるトラブルシューティングを簡略化し、スケーリングをより容易にするために、次の機能を追加しました。
リアルタイムのモニタリング
リアルタイムダッシュボードにより、ロボット、キューならびにジョブのステータスが視覚的に表示されるようになりました。エラーが発生した際には、ライブイベントはアラームを発することができるようになり、これによりトラブルシューティングをより速く行うことができるようになりました。ロボットの使用状況に関する情報は、自動化のスケーリングおよびライセンスの使用に関する決定を下す際に利用できます。
実行スナップショット
トラブルシューティングを容易にするために、適切なセキュリティアクセス権限を有する管理者は、エラー発生の直前に記録されたジョブ実行のスナップショットをオンデマンドで確認することができます。これにより、いつ、どこで、そしてなぜ Unattended ロボットがワークフローを最後まで実行できなかったのかということをより簡単に判断することができるようになります。
キューアイテムの一括更新
Orchestrator に手動でキューアイテムを追加する必要が生じた際には、管理者は CSV/Excel ファイルをアップロードして、更新をより速く簡単に行うことができるようになりました。
セキュリティ担当者向けアップデート
セキュリティは、弊社プラットフォームの主軸です。UiPath の製品には、セキュリティプロフェッショナルを支える以下の特長があります。
Veracode Verified Continuous 認定
UiPath Platform は Veracode プログラムの最高レベルである Verified Continuous の水準に達していると認定されました。これにより、UiPath Platform は、ソフトウェア開発のプロセスにおいて包括的で安定したセキュリティを実践していることが証明されました。詳細は追って公開します。
専用ライブラリ
ライブラリをテナントレベルで独立させることで、再利用可能性とセキュリティ体制の向上が実現します。業務の必要性に応じて、ライブラリをテナントレベルでもアプリケーションレベルでもパブリッシュできます。
エンドユーザー向けアップデート
キーボードショートカット
キーボードショートカットをあらかじめ設定することで、Attended ロボットを即座に開始できます。各ワークフローに、自分で選択した 2~4 つのキーから成る一意の組み合わせを割り当てることができます。
Robots にダークテーマが登場
他のプラットフォームコンポーネントと同様に、ロボットトレイもお好みでダークテーマに設定できるようになりました。
主要な自動化機能の改良
各方面のユーザーに向けた上述の優れた機能に加え、プラットフォームの主要な自動化機能にも改良が加えられました。
ネイティブ仮想化サポート機能の改良
Citrix の XenApp や XenDesktop、ならびに Microsoft リモートデスクトップベースの VDI (仮想デスクトップ基盤) 環境でも、ネイティブセレクターを使用できるようになりました。
ブラウザサポートの強化
拡張機能不要で JxBrowser がサポートされるようになり、Java 環境における自動化のサポート範囲が拡大しました。また、Microsoft Edge における自動化のサポートも開始しました。
進化した PDF アクティビティ
PDF アクティビティパッケージに機能が追加され、より複雑なシナリオでのファイル処理にも対応できるようになりました。
オートメーションエコシステムの拡大
RPA の未来は、オープンで拡張性のあるプラットフォームにかかっています。そのため UiPath は、ユーザーやパートナーが今現在使用しているテクノロジーとの連携をはかれるようにプラットフォームを改善し、未来への道筋を描こうとしています。今回のリリースでは以下の連携の新機能・改良機能を新たに提供します。
Lotus Notes メールのサポート
こちらのアクティビティは、添付ファイルを含む Lotus Notes でのメールメッセージの受信、送信、移動、そして削除をサポートしています。
Microsoft Office 365 アクティビティ**
Microsoft Office 365 の諸機能のうち、Excel Online、Outlook、OneDrive の業務も自動化できるようになり、Microsoft Cloud を使用した業務がより楽になります。
Microsoft Visual Studio アクティビティセット
Microsoft Visual Studio と連携する拡張機能により、独自性の強い業務に対して必要とされる UiPath Studio のカスタムアクティビティを素早く作成できます。
G Suite との連携を強化
Google Suite のサポート範囲を拡大しました。Google カレンダー、Gmail、Google スプレッドシートおよび Google ドライブでのさまざまなタスクを自動化する 31 のアクティビティを用意しています。
Jenkins や Microsoft Azure を利用した DevOps (デブオプス)
Jenkins と Azure を利用した DevOps で、パッケージのデプロイ作業を加速させましょう。UiPath Go! 、Jenkins Marketplace および Visual Studio Marketplace からダウンロード可能なこれらのプラグインを使用すれば、UiPath 上でバージョン管理をしながら自動化プロセスを簡単に構築・デプロイでき、整合性の保証もできます。
Orchestrator Mobile アプリ
ダウンロード数が 4,500 を超え、現在も増加中につき、Orchestrator Mobile はリリースの度に皆さんからのフィードバックを反映させています。今回のリリースでは、次の 2 つの新機能を追加しました。
ジョブの開始
Orchestrator Mobile からジョブを開始するという、圧倒的に要望の多かった機能がついに実現しました。セキュリティ強化のため、アプリで生体認証を有効にしている場合はジョブを開始する際に生体認証を行う必要があります。
ステータスの共有
ロボット、ジョブ、およびトランザクションの情報を、お好きなメッセージアプリ、メールアプリ、またはノートアプリを介して素早く共有できる機能です。詳細についてはこちらをご覧ください。
コミュニティ
UiPath Connect! からもお知らせがあります。「探す」「学ぶ」「作る」ための各サービスのほか、Connect! には RPA 開発者が自動化のポートフォリオを構築するために必要なものがすべて揃っています。今回のリリースでは、次の機能が追加されました。
Go! と Studio とのより強い連携
UiPath Studio に、Go! のコンポーネントフィードが自動的に表示されるようになりました。Enhanced REFramework や Connector for Salesforce Lightning Platform といった人気のツールを活用してワークフローをパワーアップさせましょう。もう go.uipath.com にアクセスし、手動で Studio にコンポーネントを追加する必要はありません。
今回の機能改善の一環で、gallery.uipath.com のフィードは廃止となりました。詳細はこちらのフォーラムの投稿をご確認ください。
Connect! のバッジ機能
Connect! は、あなたの自動化スキルを披露できる情報集約の場であり、ユーザーが望む場合には履歴書のように使用することもできます。また、新しい認定 RPA 開発者スーパーバッジで、認定された RPA 開発者であることをアピールできます。また、アカデミー 2 周年記念による認定資格の無料提供期間は、2019年6月30日までです。
弊社の製品サポートライフサイクルについてはこちらをご確認ください。
*コンピュータビジョンは、オンプレミスでは GA 版を提供しておりますが、オンラインユーザーにはパブリックプレビューを公開中です。
**4月末に公開予定です。