トライアルの開始

ブリヂストンファイナンス
株式会社

グループ内の業務を集約。RPAを活用し「本業に特化できる」体制を構築

世界最大手のタイヤメーカーとしてグローバルシェアNo.1に君臨し続けるブリヂストン。「最高の品質で社会に貢献」という不変の使命のもと、国内外に多くのグループ会社を持つ巨大グループだ。その一員であるブリヂストンファイナンス株式会社は、その名が示す通り金融業務に加え、経理事務や人事労務、グループ全体の経理・給与システムの運営などを担当している。今回は同社のRPAとAI-OCR導入の経緯と今後の展望について紹介する。

IDSS

【課題】

グループ内の業務集約による標準化・効率化。さらには内部牽制機能の強化

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ブリヂストンファイナンス株式会社
業務推進本部
業務推進部長
清水 敬芳 氏

ブリヂストンファイナンス株式会社は、世界150 か国以上の市場に向けてタイヤ・多角化製品の開発、製造、販売を行っているブリヂストンのグループ会社だ。同グループ内には多くの会社が存在しているが、その中でもブリヂストンファイナンスは、1989年にグループ内の資金を一元化する金融子会社として設立され、国内グループ会社の金融業務(金銭の貸付や債権の買取)を一手に引き受ける役割を持つと同時に、グループ内の経理事務や人事労務などを集約するシェアードサービスも提供している。

さらに、その事業領域はBPR業務にも広がっている。その背景としては、同社設立から10年後の1999年に、ブリヂストン本体が基幹システムにSAPを導入した。さらにグループ全体で基幹システムを標準化するため、翌年よりグループ会社も順次SAPの導入を進めた。それと同時に、全体のシステム管理や業務集約を目的にブリヂストンファイナンスに移管されていった。その業務は、SAPのシステム面での運用保守から始まり、グループ会社内の経理業務を集約し標準化・効率化するため、経理の受託業務を開始した。現在では「業務推進本部」の下でグループの経理業務が行われていると、業務推進本部 業務推進部長 清水敬芳氏はブリヂストンファイナンスの沿革について説明する。

具体的な経理業務の一例として、海外出張旅費の精算業務があげられた。海外に多くの子会社や関連会社を持つブリヂストンでは、数多くの海外出張が発生する。そこで2017年より海外出張に伴う精算業務を受託するようになり、現在ではブリヂストンのほぼ全量の精算業務を同社が受託しているという。さらに2018年からはブリヂストンの各部署で発生する伝票の起票業務も受託したことをきっかけに、さらなる効率化と内部牽制の機能強化に向けて活動を始める。それは、ただ業務を集約するだけでは、人的リソースに依存してしまい、いずれ限界がきてしまうからだ。そこで業務を自動化するRPAに注目しはじめた。

【ソリューション】

後発のメリットを活かし、積極的にRPA導入を推進

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ブリヂストンファイナンス株式会社
業務推進本部
業務推進部
RPA推進課
中村 洋 氏

同社がRPA導入の検討を開始したのは2019年3月。まずは社内で導入プロジェクトを立ち上げ、当初の目標として二種類のロボットづくりを目指した。そのひとつが「勤怠入力」だ。グループ会社の中には、一部の技能職については「勤怠入力をExcelから転記」しているという。これをロボット化することにした。本格的に稼働が始まったのは2019年7月からだ。もうひとつはRPAの検討のきっかけにもなった「伝票の起票業務」。さまざまなフォーマットで集まってくる請求書の処理は、数字や文字の読み取り精度が肝となる。そこで同社が導入したのが、RPAとAI-OCRの連携だった。こちらは2019年7月末から8月頭にかけて試験導入し、9月から本格稼働しているという。

RPAやAI-OCR導入までの意思決定は早かったという。「我々は後発組。早いところは2016年あたりからRPAを導入しているので、二の足を踏んでいる場合ではなかった」と清水氏は語る。また同社ではUiPath社のRPAとAI inside 社の「DX Suite」を使っているが、こちらの選定過程もスピーディ、かつシンプルだった。業務推進本部 業務推進部RPA推進課の中村洋氏は「既にキックオフの段階で、グループ内のソフトウェア会社から『UiPathがいい』と聞いていました。実際SAPとの相性も良く、日本のマーケットに力を入れているところも安心でした」と話す。業務推進本部 業務推進部 業務推進会計課の中澤厚子氏もこう語る。「AI-OCRでは読み取り精度が6割にも満たない製品がある中で、AI inside の読み取り精度は圧倒的でした。CSVで出力できるため、システムとの連携もしやすいですし、設定もわかりやすかったです」。加えていずれの製品についても「質問に対するレスポンスが良く、将来性を感じた」(清水氏)という。

もちろん、伝票処理をすべてRPAとAI-OCRに任せることに不安がないわけではない。このため会社によっては途中箇所に「人の目」を入れているところもある。しかし同社は「他社の成功事例・失敗事例を見聞きできる」という後発のメリットを活かし、最初から人が介在しないシステムを構築していったという。その中でもAI-OCRの読解率を高めるための前裁きが重要と清水氏は次のように説明する。「ひとつの工夫として各社から送られてくる様式の異なる請求書上の定位置に枠版(ハンコ)を押してもらいそこに管理会計コードを記入してもらうことで一気通貫での処理を実現しました。細かい調整には苦労しましたが、開発の途中でUiPathとAI inside のAPI連携キットがリリースされたこともあり、それを活用することで最初から安定して稼働させることができました」

【導入効果】

1日1時間の効率化と心理的負担の軽減に貢献

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ブリヂストンファイナンス株式会社
業務推進本部
業務推進部
業務推進会計課
中澤 厚子 氏

2019年12月現在、同社では今夏からRPAを導入したため、定量効果・定性効果ともにまだ十分なデータは集まっていない。それでも一部の業務では、目に見える成果が表れているという。

・1日1時間の時間削減を実現
はっきりと数字に表れているのが「勤怠入力」の分野だ。それまでは担当者が交代しながら、グループ会社の勤怠表入力を行っていた。一日あたりの件数は70件ほどで、約1時間の作業量になる。これがRPAの導入によって自動化された結果、コンスタントに毎日1時間分の作業が削減できた。

・心理的負担の軽減
勤怠入力にRPAを導入したことは定性効果にも表れている。Excel上からデータを拾ってシステムに入力するという作業は、決して難しいものではない。むしろ同じことを繰り返す単純作業だ。だからこそ「眠たくなる」のだという。当然ミスも起きやすいため、担当者の心理的な負担は大きかった。RPAの導入により、「担当者からは心理的苦痛がなくなったと聞いている」(中澤氏)という。

業務集約・効率化が可能な業務はグループ内に多く存在するが、現在はまだ本格的にスタートしたばかりであるという。今後RPAの本格稼働が進むにつれ、徐々に大きな定量効果が見込まれることだろう。

【今後の展望】

グループ会社からの受注量を現状の10〜20倍に拡大

同社の目標は「グループ内の業務集約に向け、受託業務を拡大していく」ことだ。「受託業務を増やすことで業務を集約し、それぞれのグループ会社が本業に特化できる仕組みを作ると共に、グループ全体の業績の底上げにもなる」と清水氏は説明する。具体的なイメージとしては、そういった受託業務を現状の10倍から20倍に最大化していきたいと語る。「そのためには今のロボットを随時ブラッシュアップすることが必要。たとえば伝票処理の場合、現在は日付や金額を読んでいるだけだが、これをどこの企業から来たのかということも読み込めるようにしたい」(清水氏)。

もちろん、今後さらに実績を積み重ね、ブリヂストン本体やグループ会社からの信頼を着実に高めていくことも欠かせない。すでに海外出張の精算業務では一定の評価を得ている同社。伝票起票の業務でも同様の成果を上げていく考えだ。「我々はこういうことをやっていると宣言してアピールしていくことより、まずは確実に実績をしっかり作ってからということです。ただあまりのんびりしてもいられないので、どこかのタイミングで大々的にアピールしないといけませんけどね」(清水氏)。

同社のRPA導入はまだ始まったばかり。RPAとAI-OCRの活用を通して、今後はグループ内でさらに活躍の幅を広げていくことだろう。
(※本事例の内容は、2019年12月時点のものです。)

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お客様情報

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ブリヂストンファイナンス株式会社

所在地: 東京都中央区京橋3-1-1
               東京スクエアガーデン24階

主な業種: 金融業

お客様概要ブリヂストングループの金融部門として、ブリヂストンの国内グループ内で金銭の貸付、債権の買取といった金融業務に加え、経理事務や給与計算の受託といったシェアードサービスを提供する会社です。ブリヂストングループ全体の業務の集約・標準化を目指すため、各種コンサルティング業務も行っています。

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