トライアルの開始

日立キャピタル株式会社

業務品質・効率の向上を目的にRPAを活用し業務プロセスを大幅に改善

リースをはじめとした多様な金融サービス・ソリューションを提供する日立キャピタル株式会社(以下、日立キャピタル)は、持続的成長に向けた経営基盤の強化の一つとしてデジタルトランスフォーメーションを掲げており、その一環でRPAやITを活用した業務品質・効率の向上に取り組んでいる。ここでは、日立キャピタルのRPA導入の経緯や今後の展望について紹介する。

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【課題】

業務品質・効率の向上を通じた持続可能な経営体質へのチャレンジ

日立キャピタルは、リースをはじめとした多様な金融サービス・ソリューションの提供を行っている。同社は「社会価値創造企業」を経営方針に掲げており、近年は国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を基点とした事業を推進し、パートナー企業との連携強化や、自らが事業体となるなど、事業領域を広げ、社会課題の解決に取り組んでいる。また、2017年度から、生産性の向上による残業を前提としない働き方へのシフトを通じて、創出した時間で従業員の人間力を向上させ、会社の成長もめざす働き方改革「SKYプロジェクト(スゴい会社プロジェクト)」に取り組んでいる。

日立キャピタルは、2010年度から業務の進め方を根本的に見直す「スマートトランスフォーメーション(略称:スマトラ)」に取り組み、既存のグループウェアから新たなツールとしてSharePointを導入した。2018年度からは先進的IT技術の導入による質の高い経営基盤構築をめざした「デジタルトランスフォーメーション(略称:DX)」を掲げ、RPA・AIなどを活用して業務の品質・効率を向上させる「攻めのIT」を推進している。 

【ソリューション】

契機は日々の照合作業の自動化

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日立キャピタル株式会社
デジタルトランスフォーメーション本部
デジタルトランスフォーメーション企画部
デジトラ推進グループ
丸山 睦 氏

2016年4月、「スマトラ」の一環として、情報共有やワークフローシステム構築などを行うグループウェアの見直しを実施し、SharePointの導入・運用を開始した。イントラネットや各種業務ドキュメントをSharePoint上に集約することで、情報の一元化と業務プロセス効率化のための基盤を整えた。次に業務プロセス改革のツールとして注目したのがRPAだった。デジタルトランスフォーメーション本部 デジタルトランスフォーメーション企画部 デジトラ推進グループ 丸山 睦氏は、RPAを検討した経緯について次のように語った。「RPAで開発対象業務の検討を始めた2017年、財務部門から銀行システムと社内システムの口座残高の照合作業の効率化について相談がありました。 業務自体は単純な作業でしたが、保有口座が多いことから、8人で日々数時間をかけて照合作業を行っていたのです。この作業を自動化すれば労働時間の短縮に大きく貢献できると考え、トライアルを開始しました」

当初、他社のRPAツールを使い照合作業の自動化を検証していたが、ブラウザでポップアップが出るたびに止まってしまっていた。そこでポップアップを回避できるロボットはないのかと試したのがUiPathのRPAだった。UiPathを選定した理由はその汎用性の高さであると、デジタルトランスフォーメーション本部 デジタルトランスフォーメーション企画部 デジトラ推進グループ 下迫 良哉氏は語った。 「日立キャピタルの社内にはWebアプリケーションだけではなく、数多くのクライアントアプリケーションが存在します。UiPathの最大のメリットは、特定のアプリケーションだけでなく様々なアプリケーションの自動化ができる汎用性の高さにあります。今後もシステムやアプリケーションが増えることを考慮すると汎用性は重要です」

【導入効果】

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日立キャピタル株式会社
デジタルトランスフォーメーション本部
デジタルトランスフォーメーション企画部
デジトラ推進グループ
下迫 良哉 氏

膨大な量の契約システム、保険システムの入力時間の削減

2018年4月よりUiPathの本格導入を開始した同社は、業務プロセス改革において多くの成果を収めている。特徴的なのはSharePointとの連携だ。日立キャピタルでは業務プロセス改革の第一段階として導入したSharePointで情報を集め、ロボットで加工し、情報の開示はアクセス権をコントロールできるSharePointで掲載している。また、その中でも効果の高い2つの業務について下迫氏は次のように説明した。

・契約管理システムへの入力業務
契約のシステム入力についてはこれまで約30人月を費やしていた。これをRPA化することにより、大幅な人的リソースの削減を可能にした。これによって業務品質の向上だけでなく、確認作業に費やした人員を他の業務に投入することができた。

・保険システムへの入力業務
リースをはじめとした金融サービス・ソリューションを提供する同社では、不慮の事故などによって発生した損害を補償するために各種保険に加入している。そのためには、契約内容とほぼ同じデータを損害保険会社のシステムに入力する必要がある。基幹システムから出力されるPDF形式の保険会社用の契約のフォーマットデータをOCR機能を使って読み取り、入力作業を自動化している。まだ開発半ばだがこの業務にはこれまで約5人月を費やしており、大きな削減効果を見込んでいる。

このようにRPAを導入することにより、業務の正確性が向上しただけではなく、チェックややり直し作業が大幅に減少された。また、丸山氏は、「ロボットの稼働中に他の業務を行うことができるなど、時間の有効活用という副次的効果も得られた」と語る。

【今後の展望】

能動的なRPA化の展開とロボットセンター化構想

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日立キャピタル株式会社
デジタルトランスフォーメーション本部
デジタルトランスフォーメーション企画部
デジトラ推進グループ 主幹
嘉治 雅樹 氏

2018年度までの3年間において、RPAを軸として10万時間のプロセス改善を実行してきた日立キャピタルは、今年、新たな業務改革プロジェクトを立ち上げ、2019年度からの次の3年間でさらなる業務プロセスの削減を計画している。この業務改革プロジェクトの開始にあたり、全該当部署に行ったヒアリングを通じて、数千もの業務、約150万強時間の改善可能な業務が存在することがわかったという。デジタルトランスフォーメーション本部 デジタルトランスフォーメーション企画部 デジトラ推進グループ 主幹 嘉治 雅樹氏は、新たな業務改革プロジェクトについて次のように語った。「2019年度より、デジタルトランスフォーメーション本部が主導する新たな業務改革プロジェクトを立ち上げ、グループ会社も含めた業務プロセス全体の約30%の削減をめざしています」

同社は、ITツールだけでなく、業務の廃止や手順を見直す、いわゆるBPR (Business Process Re-engineering)や特定の業務をアウトソースするBPO(Business Process Outsourcing)を視野に入れ、現在の業務をそのままRPA化するのではなく、再度、現状を見直すことで更なる業務プロセス改革を図っていく。

RPAの展開においては、まずRPAを全社員に理解してもらうようにRPAツールの紹介ページを作成し、社内での業務自動化事例を掲載し、RPAの啓発活動を行ってきた。そうすることで現場からRPA化する業務を出してもらっていたが、「このままでは爆発的な増加は望めない。しかしノウハウが蓄積したことで、新たな業務改革プロジェクトを進めるにあたり、ヒアリングしていた業務内容から何がRPAに向いているのかがわかってきたため、今後は能動的にRPA化をしかけていきたい」と嘉治氏は説明する。

また、ロボットのエラー監視やライセンス管理など、ロボットを一元化管理する「ロボットセンター」構想を考えており、「ユーザーがロボットを意識することなく、バックエンドでロボットが動く仕組みを将来的には提供していきたい」と下迫氏はいう。
RPAの展開、運用に余念のない同社の業務プロセス改革は、今後より一層進んでいくであろう。

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お客様情報

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日立キャピタル株式会社

https://www.hitachi-capital.co.jp/

所在地:東京都港区西新橋1-3-1 西新橋スクエア

主な業種: 金融業

お客様概要日立キャピタル株式会社は、リースをはじめとした多様な金融サービス・ソリューションの提供を行い、日本国内に限らずグローバルに事業を展開している。従来のファイナンス提供にとどまらず、グループ会社を通じて再生可能エネルギー発電事業、いちごの生産事業など自らが運営・事業主体となり、事業領域を拡大している。

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