トライアルの開始

導入事例
NTTコミュニケーションズ株式会社

適材適所でRPAを活用するという方針のもと
機能、コスト、サポートなどでUiPathを選定
NTTグループの中で、世界40以上の国/地域、110以上の都市に子会社や事務所を設置し、世界規模の企業クライアントにクラウドやネットワーク、セキュリティなどの革新的なサービスとソリューションを提供するNTTコミュニケーションズは、売上1兆3000億円を超えており、調達業務に付帯する事務作業の規模と種類も膨大なものとなる。同社はこの事務作業の効率化のためにUiPathを導入し、昨年12月から運用を開始した。どういう理由からUiPathが選ばれ、どんな効果を上げているのか、話を聞いた。

※本事例の内容は、2018年6月時点のものです。

年間数十万件に上る契約と支払に正確かつ迅速な処理が求められる

大手通信事業者であるNTTコミュニケーションズで、全社の調達を一手に引き受けているのがプロキュアメント部である。交渉から発注、契約、支払といった調達業務全体をカバーし、内部には「契約センタ」と「支払センタ」が設けられ、グループ会社の従業員約100名が、実際の契約業務と支払業務に当たっている。処理する件数は、年間数十万件にも上る。

八木 隆司氏
プロキュアメント部
第一調達部門
第二チーム担当課長
八木 隆司氏

「契約と支払、いずれもクリティカルな業務で間違いや遅滞は許されません。正確かつ迅速に処理するために、様々な処置を講じてきました」とプロキュアメント部長の山下克典氏は話す。担当者によるダブルチェックは当然であり、様々な切り口でのチェックの仕方やシステム別にチェックツールを導入するなど工夫を凝らしてきた。

しかし、一方でこうしたミスを防ぐ仕組みを強化することは、業務処理にかかる稼働を増やすことにも繋がる。常にBPRに取り組み、業務の効率化を図ってきたが、人手で対応するにはいよいよ限界が来ていた。サービス戦略として「Transform. Transcend. Service Strategy」を掲げて、顧客の業務の効率化を支援している同社にとって、自社の調達業務のデジタライゼーションは大きな課題の一つでもあった。

そこで同社が注目したのが、RPAによる業務の効率化である。「従来のアプローチでは、システムごとの機能改善やアクセス等の個別ツールで対応していましたが、契約の中に支払の情報が含まれているなど、ワークフローや契約、調達、支払、また、それらの進捗管理など、複数のシステムをまたがった業務処理の自動化が必要でした。そこで、先進的なRPAを取り入れて課題を解決しようと考えたのです」とプロキュアメント部第一調達部門第二チーム担当課長の八木隆司氏は語る。

現場のエンジニアが容易に学習できて少量多品種に対応できる点を評価

具体的にRPAツールを選ぶに当たっては、幅広い視野から臨んだ。プロキュアメント部第二調達部門長の藤本聡氏は、「今回の業務は正確性が求められ、対象となる業務が多岐に亘って規模も大きく、当然コストもかかってきます。そこで適材適所で行こうと考えたのです」と語る。

特に考慮したかったのが、シナリオの作り易さだった。「コストのことを考えると、ゆくゆくは自分たちだけで運用できるようにしたいという思いを持っていました。そのためには、処理のシナリオが作りやすくて、ロボットの維持管理がしやすいことも、重要なポイントでした」(山下氏)。

2017年1月ごろからRPAの情報の収集を開始した同社は、様々な観点によりチェックポイントを設け、6月ごろまでの間に製品を比較し、絞り込んでPoCを行った。そこで浮かび上がってきたのが、UiPathだった。

UiPathを選んだ決め手として挙げられるポイントは、機能面、コスト、サポート体制、シナリオ作成の容易さだが、中でも大きかったのは学習コストだった。「現場のエンジニアにUiPathのオンラインサイトで1週間ほど学習してもらったところ、多少のSE経験があれば、誰でも使えるようになることがわかりました。エンジニアの育成コストがさほどかからないというのは、大きな魅力です」と八木氏は選定の理由を語る。

山下氏は日本法人の代表である長谷川康一に会った時に聞いた「日本の複雑で少量多品種な業務を自動化するために参入した」という言葉が印象的だったという。「長年、BPRに取り組んできましたが、システム化できない小規模な業務が紙のまま残っていました。それだけに長谷川氏の言葉には、共感できるところがありました」(山下氏)。

「小さな違いまで含めると3万通りのやり方がある」(藤本氏)と言われる同社の調達業務を考えると、現場のエンジニアがすぐに学習できて、少量多品種の業務に対応できるUiPathは、まさに“適材適所”だったのである。

自動化できる業務を合計すると年間約6万時間削減の可能性も

2017年8月にUiPathの導入を決めた同社は、適用できそうな業務プロセスを分解して詳細な業務フローを作り、UiPathによってコストや効率がどう改善されるのか、安定性や正確性が確保できるのかを検証し、ロボットを開発するかどうかを判断していった。

藤本 聡氏
プロキュアメント部
第二調達部門長
藤本 聡氏

「決裁を起案してから支払うまでに、40の業務プロセスがあり、これらのプロセスごとに有効性を確認し、結果として郵送など紙ベースでの対応が必要なものや、紙ベースのものとの比較など人の判断が絡むものを除いた13の業務プロセスを選び出しました。」と山下氏。業務チームとシステムチームでRPA導入プロジェクトを編成してロボットの開発に取り組み、ロボットの運用自体を開始したのは12月からだった。

ただ、支払など決して間違いが許されない業務プロセスに適用するだけに、開発や導入には慎重に取り組んだ。開発したロボットは受入試験を行って不具合を徹底的にチェックし、業務プロセスへの適用にあたっては、対象業務全体を人とロボットで半々に振り分けてリスクを回避しつつ、問題がないことを確認した上で100%適用に移行するというステップを踏んだ。

2017年度3月期の期末処理では、4300件の支払伝票処理と3200件の振替伝票処理を行ったが、実際には、人とロボットで半分半分に業務量を振り分けた。「PoCは少量のデータで実施したので、1000件、2000件になった時に、動作エラーなどが起きるのでは、と心配しましたが、全く問題ありませんでした」と藤本氏は振り返る。

業務量を振り分けたことは、リスクを回避しただけでなく、人とロボットの生産性の違いを確認する機会にもなった。「今期は1番処理件数が多かった日で約1000件でしたが、この量を半日程度で処理しきっており、結果的に、ロボットの生産性は人の3倍にもなりました」(八木氏)。

現在開発済みのロボットは、対象となる13業務中の6業務だが、残り7業務も開発されれば、「契約センタ」と「支払センタ」で、全体として30%の業務効率化が見込めるという。「年間の総稼働時間のうちの約6万時間が削減できます。適用業務が広がればそれ以上の効果が期待出来ると考えています」と山下氏は語る。

UiPath Orchestratorを導入して遠隔での各種制御を実現したい

こうした同社のプロキュアメント部におけるロボット活用の成果は、同社内だけでなく、NTTグループの他社からも関心を持って見られている。山下氏は「本格運用の始まった今年の1月以降、社内9組織、グループ会社3社が見学に来ています。海外の子会社からも社長自ら見学に来られました。今後、組織を越えて導入が広がる可能性もあります」と話す。

山下 克典氏
プロキュアメント部長
山下 克典氏

現在同社としては、UiPath Orchestratorを使った遠隔制御についても検討中だ。「もともとUiPathの強力な管理機能に魅力を感じていました。現在約30ライセンスでロボットを利用していますが、これらのロボットをグルーピング化して、集中的にコントロールしたい。例外処理のハンドリングも検証中です」と八木氏は現状を語る。

UiPath Orchestratorで想定しているのは、ロボットをリモートで配布したり、業務プロセスが止まった時にリモートで対応したり、スケジューラで起動や停止を自動制御するといったことだ。メンバーをUiPathのワークショップに送り込んで最新情報をキャッチアップしているという。

UiPathの適用範囲を広げるためのOCRやAIの活用も積極的に検討している。これらの技術を組み合わせれば、現在紙ベースでしかハンドリングできないために手作業で対応している業務もロボットで処理できるようになる。

「交渉や発注というところでも自動化できないかと考えています。調達したい人の問い合わせに自動で回答するとか、調達価格の安いところを探し出して自動で発注するとか、NTTグループ内のAI等の技術も活用して、自動化の範囲をもっと広げて行きたいと考えています」(山下氏)。

最後に山下氏は「UiPathに期待しているのは、業務作業の効率化だけではありません。社内外にある様々なデータを集めてAI等と連携して自動的に分析し、新しいアイディアを創出する等、アナリティクスの領域における価値をも生み出せるのではないでしょうか。より高度なところを一緒に目指して行きたいですね」と語る。今後の広がりに期待したい。

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