導入事例:株式会社オープンハウス 業種:不動産

RPAのクラウド連携とその先へ
“ハイパーオートメーション”を
具現化する最先端のチャレンジ

不動産業界では他に類を見ない“製販一体型ビジネス”で急伸するオープンハウスが、UiPathを導入し成長戦略を加速させている。同社の強いビジネスを支えているのは、クラウドネイティブを指向した自社開発アプリケーション群と、煩雑な業務の効率化を担うRPAによる自動化である。UiPathは、オープンハウスのビジネスに更なるスピード化をもたらすとともに、IT部門による最先端のチャレンジを支えている。

CHALLENGE製販一体型ビジネスを支える独自開発システム

オープンハウスの急成長が止まらない。2014年度からの5年間で売上規模を4.8倍に拡大し、2020年度は5,700億円を目指している。同社は、首都圏を中心とする戸建て住宅の販売で業界をリードしてきたが、その強さを支えているのは、不動産業界の常識を変えた独自のビジネスモデルである。情報システム部 業務改善グループ・システム開発グループ 次長の山野高将氏は次のように話す。

「不動産業界で他に類を見ない“製販一体型ビジネス”が、私たちの最大の強みです。コア事業である戸建関連事業では、土地の仕入れから設計・施工管理・販売までを一貫して自社グループ内で手がけることで、お客様ニーズを反映した商品=戸建て住宅をリーズナブルな価格で提供可能にしています」

『好立地、ぞくぞく。』というスローガンは、オープンハウスの戦略を端的にあらわしている。「広いけれど遠い家より、やや狭くても都心の一戸建てがいい」という顧客ニーズをいち早く掘り起こしたことが、同社の大きな成功につながった。圧倒的な意思決定のスピードと現場の機動力が、オープンハウスの快進撃を支えるもうひとつの強みである。

「製販一体型のビジネスプロセス全体を一貫させる基盤として、独自の基幹業務システムを構築・運用しています。顧客・土地・設計・施工・販売をすべて扱う私たちのノウハウが本システムに注ぎ込まれており、自社開発のメリットを活かして常に改善を続けています」と山野氏は話す。

注目すべきは徹底した自社開発へのこだわりだ。事業会社内としてあるべきIT部門を追求し、開発を外部コンサルやベンダーに丸投げするのではなく、機動性と低コストの両立を図りながらすべてのIT施策を社内でリードする。そのために、国内外から優秀なフルスタックエンジニアを社員として採用し、クラウドをはじめとする最先端の技術を積極的に活用しながら、着実に社内にノウハウを蓄積している。アプローチもスピード感も従来型のスクラッチ開発とは大きく異なるものだ。山野氏は続ける。

「スピード、開発生産性、運用の容易さ――すべてにおいてメリットの大きいクラウドテクノロジーに着目し、PaaSに代表される上位レイヤーのサービスを積極的に活用したクラウドネイティブのアプリケーション開発に注力しています。基幹業務システムでは、経営の根幹を支える役割を果たしながら、セールスや現場のスタッフがスマートフォンから必要な情報にアクセスできる仕組みも整えました」

山野氏らは、2019年5月からRPAを活用した業務の自動化に着手。さらに、2019年10月にUiPathを導入しRPA自動化の全社展開を本格化させている。

SOLUTIONUiPathを採用しRPA自動化を本格的に全社展開

RPA自動化への取り組みは、強力な開発チームを持つオープンハウスならではのアプローチでスタートした。山野氏は次のように話す。

「起点となったのは、土地などの仕入れを担当する開発事業部からの相談でした。オープンハウスではグループ全体でおよそ8千棟の戸建て住宅を扱っており、膨大な件数の物件情報の基幹システムへの入力を手作業に頼っていたのです。私たちは、独自にRPAの機能部品を開発し、これらを組み合わせて入力業務の自動化を実現しました」

Pythonによる独自開発で初期のRPA自動化を実現し、山野氏らは大きな手応えを得た。従来型のシステム開発で網羅しきれない業務、あるいはシステム化によって発生した入力作業などにRPA自動化を適用することで、短期間で合理的に業務の効率化を実現できることが確かめられたのだ。現場の反応は早かった。

「瞬く間に社内に評判が広まったことでRPA化の要望が殺到し、開発チームで対応しきれないほど膨らんでしまいました。まさに嬉しい悲鳴です。そこで私たちは、もっとスピーディに、もっと効率よくRPA自動化を開発・運用するための方法を検討しRPA製品の導入を決めました。そして、RPAの本格的な全社展開を見据えて選定したのが、プラットフォーム=ビジネス基盤としての優れた資質を備えたUiPathでした」と山野氏は振り返る。

選定に際して山野氏らがUiPathを評価したポイントは次の3つだ。
①開発生産性の高さ:IT部門の技術者に加え業務部門でも開発できる(UiPath Studio)
②優れた統合管理性:ロボットの運用・実行をIT部門で一元管理できる(UiPath Orchestrator)
③クラウドサービス連携:G SuiteなどのパブリッククラウドとAPI連携が可能(UiPath Automation Cloud)

「UiPathでは、ノンプログラミングでロボットを開発できることが、開発人材を拡充しやすいという意味でやはり大きいですね。開発生産性の高さはビジネスのスピードに直結します。そして、G Suiteをはじめとするクラウドアプリケーションと容易に連携できることが、UiPath採用の決め手になりました」(山野氏)

BENEFITUiPathのクラウドサービスを活用して、G Suiteと連携

オープンハウスでは、G Suiteを全社のコミュニケーション基盤として採用している。山野氏らが特に力を注いでいるのは、「G SuiteとUiPathを連携させるワークフロー」の開発だ。開発事業部の業務に適用してすでに成果をあげている事例がある。これを担当した情報システム部 システム開発グループの水上健人氏は次のように話す。

「開発事業部には、システム登録された新しい物件情報が、チャット(Google Hangout Chat)でタイムリーに関係者へ案内される仕組みがあります。物件情報の収集・登録・配信は手作業に依存していたのですが、ここにUiPathを適用して自動化されたワークフローを構築しました。重要な役割を果たしてくれたのが、UiPath社が提供するクラウドサービス「UiPath Automation Cloud for enterprise」のOrchestrator機能(以下SaaS版Orchestrator)です」

2020年5月にリリースされたSaaS版Orchestratorは、G Suite などのパブリッククラウドサービスとの連携性が高い。オンプレミスのUiPath Orchestrator と同様に複数のUiPath Robotsやワークフローを統合的に管理し、スケジューリングによる自動実行・無人運用も容易にする。

「GAS(Google Apps Script)のExecution API を介してSaaS版Orchestrator へ命令を出し、UiPath Robotsを緻密に制御することができます。開発事業部の例では、Google Formへの物件情報の入力を起点にUiPath Robotsを起動させて自動でシステム登録を行い、Hangout Chatで自動配信する仕組みを構築しました」(水上氏)

山野氏は、「OrchestratorこそUiPathの価値の根幹」と指摘する。

「UiPathを選定する理由にもなったSaaS版Orchestrator の役割は極めて重要です。入力としてのG Suite連携では、ChatやGmailなどのG SuiteサービスからExecution APIを介して、SaaS版Orchestratorからロボットを直接かつ簡単に叩けること。さらに、UiPath Robotsによる出力側の連携では、アクティビティを活用することでSpreadsheetやChatなどへの出力も容易なこと。これらを組み合わせる事で、G Suiteを利用するあらゆるワークフローに適用できます。高い技術力を自負している私たちでも、こうした機能を独自に開発するのは容易ではありません」

RPA自動化は、いま最も重要なテーマのひとつです。

“ハイパーオートメーション”のビジョンを共有しながら、UiPathを活用した新しい価値創造にチャレンジしていきます。

株式会社オープンハウス 情報システム部
業務改善グループ・システム開発グループ次長 山野 高将 氏

NEXTRPAロードマップでハイパーオートメーションを指向

オープンハウスでは、RPA導入によってトータルで34,773時間の工数削減を実現している。これを支えるのは、UiPathによるRPAの開発生産性の向上である。水上氏は次のように話す。

「Pythonで100時間を要する開発を、UiPathでは40時間程度に短縮できました。ある事案では、40時間の開発工数に対して、年間1,200時間の効率化を期待しています。一方で、PythonによるRPA化は複雑な業務要件にきめ細やかに対応できるメリットがあります。今後も適材適所で使い分けていく考えです」

UiPath社では、RPAとAIなどを組み合わせてより複雑で高度な自動化を実現し、自動化可能な業務領域を拡大する“ハイパーオートメーション”のビジョンを掲げている。山野氏は、オープンハウスにおけるRPAロードマップを示しながら次のように話す。

「現場が困っている目の前の課題をRPA自動化で解決する、というのが現在進めている第1フェーズです。第2フェーズでは人とシステム・RPAの役割を改めて見直します。いちどRPA化した領域も含めてプロセスを再設計し、全体視点で最適化を追求することになるでしょう」

第3フェーズでは、「業務の自動化を超えて、RPAを使わないと出来ないまったく新しい価値創造を目指す」(山野氏)という。

「たとえば、ビッグデータ分析とRPAを組み合わせて購入候補となる土地の情報を収集し、AIによって将来の地価や収益性を予測しながら意思決定する、といったプロセス全体を自動実行することを視野に入れています。まさにハイパーオートメーションの領域です」

それぞれのフェーズを今後1年単位で遂行していく計画だという。山野氏は次のように語って締めくくった。

「私たちは、IT部門として『いかに自分たちの価値を創出するか』ということを常に考えています。積極的に現場へ入って業務の仕組みを知り、ビジネス課題の解決とビジネスの成長を支援する――そのためには、IT部門の全員が業務とテクノロジーに精通していなければなりません。RPA自動化は、いま最も重要なテーマのひとつです。“ハイパーオートメーション”のビジョンを共有しながら、UiPathを活用した新しい価値創造にチャレンジしていきます」

The Results

  • 34,773 RPA導入全体で、年間34,773時間を削減
  • 1,200 40時間の開発工数で、年間1,200時間の業務効率化
  • 2.5倍 2.5倍の開発生産性向上、100時間を40時間に
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