2022年1月7日

約2年ぶりにリアル開催した九州ユーザーカンファレンス。三和酒類・KMバイオロジクスのUiPath導入事例を紹介

2022年1月7日

約2年ぶりにリアル開催した九州ユーザーカンファレンス。三和酒類・KMバイオロジクスのUiPath導入事例を紹介

UiPathでは各地域で、ユーザー有志による交流活動が盛んです。2021年11月12日(金)、コロナ禍のため長く実際に集まっての開催がなかったなか、九州で久しぶりに顔を合せてのユーザーカンファレンスが開催されました。

 

冒頭、UiPath西日本営業本部長の坂谷淳宏は「西日本担当になって2年。ようやく皆様とお会いできて嬉しいです」という喜びの言葉を伝え、2021年4月21日にUiPathがニューヨーク証券取引所に上場したことについて「上場できたのは皆様のおかげ。皆様の信頼に応えて、これからがんばっていきます」と報告。UiPathの近況報告や業界のトレンドなどについての説明の後、会はスタートしました。

 

 

RPA×AIの活用で、業務担当者の精神的負担を大幅に軽減

未だ注文全体の2割を占めるFAX注文の自動化に成功した三和酒類

 

今回のユーザーカンファレンスのメインは、2社による導入事例の発表です。最初に登壇されたのは、麦焼酎「いいちこ」等で知られ、清酒・ワイン・ブランデー・リキュールなど幅広く手がける総合酒類メーカーの三和酒類株式会社の山本崇広氏。「AI×RPAで取り組む業務プロセスの変革」というテーマで紹介いただきました。

 

「取り組みのきっかけは、ほぼオンラインになった受注のうち未だ約2割程度残るFAXでの受注業務でした。FAX注文は、まず担当者が目視で受注内容を登録。次の担当者が確認する二重のチェック作業です。時間がかかるうえ、ここでミスがあると場合によっては配送日の遅れなどにも影響する重要な業務です」

 

そこでAI-OCRとRPAを活用して、FAXで届いた注文の読み取りと登録を自動化するプロジェクトをスタート。複数のRPA製品のトライアル後、UiPathに決定しました。

 

「決め手は、モジュールが視覚的に理解しやすいため、プログラミング経験のない現場の担当者でも、自分たちで一部自動化できたことです」と山本氏は話します。

 

結果、年間約20,000枚のFAX注文を自動化し、約12,000時間の創出を実現。さらに担当者へのヒアリングでは「以前は入力間違いに対するプレッシャーが非常に強かったが、そこから解放された」と精神的負担の軽減にも大きく貢献しているとわかりました。山本氏は、担当者の精神的負担の軽減こそが、業務効率化以上に重要な成果だったと見ています。

 

現在進行中のプロジェクトは、製品ラベルの校正業務です。商品に貼られている製品ラベルは仕様確定後、複数部門の延べ21名の目検を受け関係省庁に提出されます。

 

「万一ミスがあると発売日の遅れにつながります。何とかできないかとUiPathに相談をしたところAI活用を勧められました。世界的に有名な企業のAI活用例もあるという話だったのでそれを参考にし、商品マスタ、法令、自主基準の3つのチェックのAI活用による自動化に取り組み始めました」

 

プロジェクトは3つのフェーズで進行。JANコードを対象にした簡易チェックモデルの作成というフェーズ0は既に完了し、現在は対象項目を増やして法令チェックまでを自動化するというフェーズ1に取り組んでいます。最終フェーズでは、ロゴや製品の表面裏面両方のラベルをチェックするプロセスまで実施する計画です。

 

今回の自動化のポイントは、以下の3つだったと山本氏は語ります。

  1. ❶ラベルの内容のチェックからデザイン会社への発注作業まではUiPathに任せられる
  2. ❷担当者はチェック結果の確認と、ロボットへの発注指示のみでよい
  3. ❸AIを活用して商品ロゴなどの画像データもチェックが可能に

 

「将来的には従来のシステム構築から脱却することを考えている」と山本氏。「これまでのようなウォーターフォール型の開発では、大掛かりな開発ほど完成までに時間がかかり、変化の速いこれからの時代では、システム完成時にはITを取り巻く状況も変わっているというケースもあり得ます。今後はRPAを活用したアジャイル開発を中心にしていきたいです。

 

また RPAプロジェクトをきっかけに、これまでの縦割り型の組織から、部署横断的に連携ができる組織へと変えていきたいと考えています。そのためにも現場でアプリ開発とメンテナンスが行える環境の構築を目指します」と結びました。

 

RPA開発者の育成研修をとおして、DX人財を育成!

約5ヵ月の徹底的な研修で人材育成に成功したKMバイオロジクス

 

続いて「RPA の社内展開による DX 人材育成」というテーマで発表されたのは、KMバイオロジクス株式会社の植村伸宏氏、下田凜一氏、中村怜美氏の3名です。同社は熊本県に本社を置く、国内で唯一「ヒト用ワクチン」「動物用ワクチン」「血漿分画製剤」「新生児マススクリーニング」の4事業を行う製薬会社です。

 

まず企画管理本部、経営企画部 情報システム課の植村氏に会社についてご紹介いただいた後、具体的なRPA導入の背景と実際の活動についてご発表していただきました。

 

RPA導入プロジェクトがスタートした2020年度、同社では「デジタル利活用、省人化・多能化推進により業務効率、生産効率を改善」という目標が掲げられたと情報システム課の下田氏は説明。

 

「それまで“守りのIT”を行う部署だった情報システム課も、存在価値を高める“攻めのIT”へと意識転換してイノベーションを起こそうとなりました。そのためのDX施策の一環としてRPAの導入に取り組むことになりました。

 

目標は、現場主体の育成です。開発者に自動化を依頼するのではなく、国とのやりとりなど製薬業に必要な知見をもつ現場の人間が開発できるようにしたかったのです」

 

まずは業務の見える化と見直しという流れでプロジェクトを開始。導入対象として、まずは経理・営業・人事から希望者を8名募ったうえで外部講師を招き、RPA開発者育成研修が始まりました。1コマ4時間の全6回研修で、ひとり1業務の自動化を目指しましたが、実際には予想を上回る効果が出ました。

「参加者全員が目標を達成。11業務をRPA化、253時間/年の創出を実現できました。時間数は少ないですが、なかには業務のほぼ94%を自動化できたケースもありました。ITリテラシーが向上し、参加者のパソコンに対する苦手意識も改善できました」

 

高評価を受けRPAプロジェクトの継続が決まりますが、一方で本格運用のためには「自動化が属人化していないか」という課題もありました。社内で「開発ルールがないため開発者本人しか運用・修正ができない」「今の研修では十分なスキルを得られず、より高度なRPA開発は難しい」「現状の研修だけでは全社展開しようにも、RPA開発者育成に時間がかかる」という声が出たのです。

 

そこで新たに取り組んだのは、RPA運用ガイドライン、設計・テストのルールの策定。開発者認定制度も設けました。さらにRPA研修の内製化とレベル向上を目指し、研修内容の大幅な見直しを行いました。

 

研修は約5ヵ月間、全11回に及びます。研修前半では、参加者はRPAの基本的な知識を身につけつつ、RPA開発業務の選定を行います。後半は、社内のRPA開発ルールを学び自分の担当業務から2業務を実際にRPAで自動化するのが目標です。毎週木曜、回によっては終日時間をたっぷり割いて取り組みます。

 

「研修時間外にも予習と課題があり、参加者は業務以外にかなりの負担ですが、何が何でもスキルを身につけたいという意欲のある方が参加。3名につき1名の外部講師がつき、いつでも相談できる万全なサポート体制も敷きました」

 

結果は30業務の自動化、1,673時間/年の創出という前回の研修を上回る効果をあげました。

 

「脱落者が出るかと心配しましたが、結果的には高度な研修を通して、業務改善の知見を持った人材を育成でき、さらに彼らが自主的に部内への業務改善・DXのための取り組みを展開してくれたことは、非常に大きな成果でした。まさにRPA開発者育成研修をとおして、DX人財の育成ができたという実感があります」

 

育成の成功の秘訣は「研修期間中にRPAにがっつり腰を据えた」「自部署の業務を対象にしたことで当事者意識を持ちスキルを獲得できた」「参加者は希望者を募ったことでハードな研修にも耐えられたこと」の3つだと下田氏。

 

続いて、同社の医薬営業本部 営業推進部に所属する中村氏が「RPAがもたらした成果と効果~EUC開発と部内展開を通して~」というタイトルで、研修参加者の視点で成果を発表されました。

 

中村氏曰く「部内展開時には各業務の洗い出しと業務整理という業務効率化の手法と、RPAの技術を学び、定型業務を行うロボットを作れるようになることを目指しました。注意したのは、自動化の対象として最初に難しい業務を選ばないことです。挫折しかねないからです。まずは取りかかりやすいものや、RPAに向いたものから選定することを心がけました」

 

かねてから中村氏の部署では「残業時間・持ち帰り残業を減らす」という課題がありましたが、自動化によって昨年同期の残業削減率27%を実現できました。また、2020年上期から2021年上期までの3期が終了した時点で、16RPA+1VBA、計647時間/年の創出を達成しています。

 

「部内のITリテラシーが向上し、実際に残業時間の軽減にも貢献でき、さらに面倒で緊張感のある業務の自動化によって精神面での負担も軽減できました。楽しく働く人が増え、人にしかできない“考える”業務に注力できるようになったのが大きな成果です」と中村氏。

 

今後は「RPAの全社的な理解を促しながらサポート体制も整えていきたい」と下田氏。「まだまだ紙に頼る業務が多く残っています。DXのための下地づくりも必要だと考えています」

 

RPA開発の技術を身につけた中村氏は「開発は決して簡単ではありませんが、目標をもって楽しく学ぶことで、少しでも社内に仲間を増やしていきたい。そして自分も、このようなユーザーカンファレンスなどにも参加して、皆さんと情報交換することで新たな知見を増やして、今後の取り組みに活かしていきたいです」と締めくくりました。

 

この後、ご紹介いただいた事例をもとに、参加者によるグループディスカッションを実施。他社の取り組みの状況や、お互いの課題の共有や対策についての意見交換などを積極的に行い、予定の45分間では「時間が足りない」とアンケート結果で多数の声があがるほど、白熱したディスカッションとなりました。最後は、ユーザー同士、お互いにビジネスが盛り上げていくことを約束してカンファレンスは終了しました。

 

 

UiPathではこのようなユーザー同士の意見交換・交流のほかにも、オンラインセミナー UiPath Todayで定期的に製品や業界・業務ごとのRPA活用について情報発信しています。是非下記からUiPath Todayにご登録ください。

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