お客様伊藤忠プラスチックス株式会社

業種小売

地方アジア太平洋&日本

全社員の1割がRPA開発経験、RPAによる働き方改革

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食品包材や電子機器に使われるプラスチック素材などの加工・販売を手掛ける伊藤忠プラスチックス株式会社は、その汎用性の広さから絶え間ない製品の提供が求められている。そうした環境の中、常時稼働し続ける体制とオペレーションに社員の残業が増加していた。同社では社員の働きやすい環境作りのため、デジタル化の一環としてRPAの導入を決めた。ここでは同社のRPAを活用してどのように働き方を変えていったのかを紹介する。

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CIPS Case Study - Solution Overview

【課題】社員の残業の削減に向けたデジタル化への対応

伊藤忠プラスチックス株式会社は、伊藤忠グループの中核を担う化学品専門商社として、環境に優しいプラスチック製製品を世界規模で供給している。また企業理念を ”Plus it up” とし、確かな素材にひと工夫を「プラス」して届けることで、人々の暮らしに便利さと快適さをもたらすことを目指している。今や暮らしの中で身近な存在であるプラスチックは、食品、OA電子機器、家電、自動車、建築、アミューズメント、日用品など、様々な分野で利用されている。その中で、同社の主力事業のひとつにコンビニエンスストアなどで販売されている弁当、惣菜などの食品容器・パッケージ(食品包材)がある。全国規模で店舗展開し、24時間365日稼働するコンビニエンスストアに欠品を出すことなく製品を供給し続けるには、膨大な物量とそれに対応する体制やオペレーションが必要となる。そうした状況の中、今まで同社は社員の残業で対応するというオペレーションにならざるをえなかった。

また、他にも同社が抱える課題についてCIO 山中勝伸氏は次のように語る。「未だにFAXでの受発注業務もあり、デジタル化できていないのが現状です。それはやはり、お客様ありきの仕事なのでお客様向けの業務やシステムは簡単には変えられない。それならば、社員がパソコンの前でやっている業務をどうにかしてデジタル化する方法はないかと考え始めました」これらの現状を打破すべく、社長の号令のもと、社員の負担を減らす方法を模索し始めた。

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伊藤忠プラスチックス株式会社 CIO 山中 勝伸 氏

【ソリューション】伊藤忠グループ会社として、オペレーション統一に向けUiPathを採用

社員の残業を減らすためにデジタル化する方法を模索し始めた同社は、2017年9月にAI(人工知能)を切り口としたセミナーに、山中氏は社長とともに参加したという。そのセミナーの中で、ロボットによる働き方の改革というテーマでの講演があり、「探していたのはまさにこれだ!」とRPAの存在を知り、深く感銘を受けたと山中氏は説明する。そして、参加したセミナーの翌日に予定されていた同社の成長戦略会議の中で、セミナーのフィードバックを含め社長から「RPAを始める」と宣言され、いよいよRPAプロジェクトがスタートすることとなった。

2018年1月に本格的に開始されたRPAプロジェクトは、開発の方針として「業務をやっているユーザーが開発する」という方針で進められた。同社が重視したのは、いち早く効果をだすための開発スピードだ。ユーザーと開発者が分かれた場合、要件定義に膨大な時間がかかる。もちろん要件定義の中で新たな発見、業務の見直しができる場合もあるが、同社は「デジタル化して残業を減らす」ということをRPA導入の目的としているため、ユーザー自身が開発することを選択した。そしてユーザーに開発者になってもらうよう、UiPathが提供するE-Learning「UiPathアカデミー」にならい、各部門からメンバーを選出して、1期生、2期生と期を分けて社内アカデミーを開催し、RPA開発者の育成を行っている。

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伊藤忠プラスチックス株式会社 CIOグループ 情報システム課 守屋 真由美 氏

【導入効果】年間8,000時間の業務削減と早朝出勤などストレスからの解放

現在、社内アカデミーの受講者は1期生から3期生まで、合わせて約50人にも及んでいる。社員数約500名の同社において、約1割がUiPathのRPAを使いこなせる計算になる。また業務の削減時間も開発者の育成に合わせて、順調にその効果を発揮しており、1期生の作ったロボットでの業務削減時間は2,000時間、3期生まで全て合わせると2019年11月現在、約100ロボットを開発し、その削減効果は8,000時間にも及ぶ。ここまでの成功の秘訣は、社員のモチベーションと上長の理解にあると守屋氏は説明する。「社内アカデミー生に対して、最初はRPA開発が仕事として評価されていないのでは?という悩みもありましたが、社長から各本部の管理職にRPAに関する理解を促していただくことでのトップダウンと、早く効果を出したいというアカデミー生のボトムアップで成功できたのではと思います」

しかしRPA導入の本当の効果は削減時間などの定量効果だけではない。守屋氏は、「残業を削減する目的はありましたが、本当に大きな効果は社員のストレスの軽減です」 と、その定性効果についても説明する。商社企業である同社は、その事業内容から外出が多く、情報共有のために毎週月曜日の朝に会議が集中して行われている。そしてその会議資料の準備や部署ごとの週報の取りまとめなどは若手社員を中心に行われており、若手社員は早朝から出社し、その準備に追われていた。社内アカデミー1期生としてRPAの開発をしている包材第一本部 本部長付 田野秀樹氏によると「RPA導入前は、若手社員は出張日でも、早朝に会社に寄ってから出張に行っていました」と説明する。そうした業務は、各部署で行われており、複数人が早朝出勤していたが、今は誰かがボタン1つ押せば全て終わるというように業務、働き方が変化していったという。同じく社内アカデミー1期生の包材第二本部 経営企画担当 加藤弘二氏は、「RPAのおかげで仕事が一変しました。今では早朝にロボットの奪い合いになるくらい、RPAが業務に浸透しています」とRPAによる働き方の変化について語った。時代として働き方改革が求められる今、若手社員は早朝出勤をしたくない、その上長も早朝出勤の指示をしたくない、という双方にとって、RPA導入は数字では表せない大きな効果に繋がっているという。

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伊藤忠プラスチックス株式会社 CIOグループ 情報システム課長 藪根 正樹 氏

【今後の展望】RPAを軸にして周辺ツールとの連携と適用範囲の拡大

すでに大きな成功を収めている同社ではあるが、ボタン1つで業務が終わるようになると次は「誰がそのボタンを押すのか」が、次の課題であるという。そのためにはロボットを自動的に稼働させるスケジューリング機能が必要となってくる。「管理統制、スケジューリング機能を備えたUiPath Orchestratorの導入が目標とはなるのですが、その前に優先事項として、まだまだ手書きの書類、FAXでの受発注業務が多いこともあるので、もっとROIを出す施策が必要です」とCIOグループ 情報システム課長 藪根正樹氏は説明する。藪根氏は、手書きやFAX文書など、それらの書類を文字認識して読み込み、入力作業まで一気に実行するAI-OCRとRPAの連携に注目しており、これは同社にとって、残業時間削減の本丸とも言える。RPAとAI-OCRとの連携で更なる削減効果を出した上で、UiPath Orchestratorにチャレンジしていきたいと今後の展開のステップについて藪根氏は説明する。 そういった更なる効果を出すためには、開発者の育成も必要になる。藪根氏は社内アカデミー4期生の育成も視野に入れているという。「更なる効果を出す目的もありますが、RPAが社内に浸透することにより、自分もRPAをやってみたいという声が上がってきているので、そういうやる気のある芽を潰さないよう、活躍できる場所を充分に提供したい」と藪根氏は説明する。 社員の残業削減という大きな目標を果たした同社の業務改革は、RPAを軸とした周辺業務への拡張で今後さらに進化していくであろう。

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