お客様株式会社サイバーエージェント

業種IT

地方アジア太平洋&日本

RPAによる業務効率化を達成し、今後はAIとの連携が課題

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メディア、ゲーム、広告を中心にインターネット関連事業で成長を続けている株式会社サイバーエージェント(以下、サイバーエージェント)は競争が激化する中、インターネット広告領域において、多様化する広告への対応や複雑化する顧客の個別対応など、様々な場面でサービス提供への質とスピードが求められるようになってきている。このため、同社では広告運用に関連するオペレーション業務の自動化にRPAを活用した。ここでは同社のRPA導入の経緯を紹介する。

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CyberAgent solution overview

【課題】インターネット広告の発展に伴う関連業務の複雑化多様化が加速

サイバーエージェントは1998年の創業から2年で上場を果たした、インターネット業界のリーディングカンパニーである。企業のビジョンを「21世紀を代表する会社を創る」として、インターネットを軸としたビジネスを展開している。現在では代表的なサービスであるインターネットテレビ局「AbemaTV」をはじめとしたメディア事業、ゲーム事業、投資育成事業、また創業時より行っているインターネット広告事業を展開している。

国内最大手であるインターネット広告事業では、インターネットの発達と普及によって広告媒体は増加し、広告媒体のアップデートも頻繁に発生する。そのため広告代理店にとってボトルネックになりがちな広告運用のオペーション業務が複雑かつ、多様化している。また顧客によって知りたい指標が異なるため、ニーズに合わせたカスタマイズが求められることも煩雑なオペレーションを深刻化させている。それについてインターネット広告事業本部 セントラル運用設計本部 ディシジョンエンジン推進室 シニアビジネスアナリスト 喜屋武 尭氏は、広告代理店が抱える問題と将来の方向性について次のように語った。「広告代理店として、広告を取り巻く情報にいち早くキャッチアップし、お客様へ新しいサービスをご提案、ご提供していくミッションがあります。そういった人間の思考やクリエイティビティが求められるところに人的リソースをしっかりと投入していかなければなりません。一方で、インターネット広告の発展により関連する業務の複雑化・多様化が急速に進んでいます。これにより次々と新しいオペレーション業務が発生しています。こうしたオペレーション業務を「人」以外の何かに代替させていくことができなければ、日々の業務に追われて人材を十分に活用できなくなり、競争力の低下に繋がってしまうのではと考えています」

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株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 セントラル運用設計本部 ディシジョンエンジン推進室 シニアビジネスアナリスト 喜屋武 尭 氏

【ソリューション】マルチベンダー対応をはじめ、総合点でUiPathを採用

同社のビジネスアナリストとして、大きな変革の必要性を感じていた喜屋武氏は、自身が過去に携わったことがあったRPAが広告運用に活用できるのではないかと調査に乗り出した。検討を開始した当初、RPAに関する情報があまりない中で日本国内でRPAツールを展開する5社に絞って声をかけ、比較検討を行った。製品選定のポイントについて喜屋武氏は次のように説明する。「各社メリット、デメリットはありましたが、機能、操作性、拡張性、価格、学習環境など、あらゆる角度から総合的に判断して当社の運用に一番マッチしたのはUiPathでした。特に重視したのは、フローチャートを使用した直感的にわかるUI(ユーザーインターフェイス)でした」 当初より部署横断的な展開も念頭に置いており、非エンジニアでも使いこなせるツールが必要であった同社ではそれを学ぶ学習環境も必要であった。UiPathアカデミーの時間・場所の制約がなく好きな時間にいつでもRPAを無料で学べるE-learningでの充実した学習環境も大きく後押しをした。

そしてRPAツール決定後、2ヵ月かけてPoC(概念実証)を行いその業務効果を実感し、2018年7月より本格導入をスタートさせた。同社では、広告運用に関連するオペレーション業務を、沖縄、仙台、東京、ベトナムに拠点を持つ専門子会社のシーエー・アドバンスで行っている。喜屋武氏はロボットの開発は「業務を理解している現場の人が携わるのがベスト」であると各拠点に行き、「代替できるオペレーション業務を自動化することで、創造的で難易度の高い業務に人材を振り分けることができる。その繰り返しが自身のスキル向上にも繋がり、市場での価値も上がっていく」とRPAの必要性と意義を説き、現地の専任担当者と一緒にロボットの設計に携わっていったという。(喜屋武氏)

また、同社ではロボットを一元管理するUiPath OrchestratorとRPAを実行するUiPath Robotsをクラウド上に導入しているが、その理由について喜屋武氏は次のように説明する。「当初は開始時点での導入は考えていなかったのですが、やるのであれば先端的なことに挑戦したほうが結果的に良いプロジェクトになるであろうと思い導入を進めました。また、クラウド環境に置くことで複数拠点間でのコラボレーションもスムーズにでき、耐障害性というところでも安定して稼働させることが可能になりました」

【導入効果】月間9,000時間以上の自動化を実現するも本来の価値は定性的な効果にフォーカス

広告運用オペレーション業務の自動化を目的に進められたRPAプロジェクトは、開始から2年弱の活動でありながら多くの成果を収めている。定量的な効果で言えば24時間365日の稼働で、月間で約9,000時間以上もの作業の自動化を実現した。しかし、RPAの本来の価値は定量的な工数削減時間ではなく定性的な効果にあると喜屋武氏は説明する。「RPAの効果として数字で分り易い工数の削減時間に目を向けがちですが、自動化するので工数削減に繋がるのは当たり前ですよね。本当に大切なのは24時間365日稼働が可能で、ヒューマンエラーを抑制することができ、一定のサービス品質を保つこと、煩わしい単純作業の負担を軽減し、余剰リソースをどこに振り分けどのような成果を出すのかが重要だと考えています」

またRPA導入の効果は各拠点メンバーの評判も上々で、当初は自動化に懐疑的だった従業員も積極的に自動化を求めるようになり、広告の細かい数字を取り扱うような作業は神経を使うため、ミスがなくストレスからも解放されるRPAの活用に、自分もRPAの設計や運用もやりたいという意欲のある人も出てくるほど職場の雰囲気が変化していったと喜屋武氏は語る。

こうした取り組みの成功の秘訣について喜屋武氏は続けて次のように語った。「RPAの導入は推進する側の人間が専任でフルコミット出来るかどうかが大きく左右すると思います。RPAの効果に対して半信半疑の場合や担当を兼務しているケースも多いと思いますがその場合、仮に成功しても効果が出るまでのスピードが遅くなってしまいます。その点、当社では推進する私と開発者2名を専任にしてもらったことで、素早く大きな効果を得ることができました」

【今後の展望】RPAとAIの融合、さらにはRPAの進化に期待

RPAでの確実な効果を生み出している同社ではあるが、更なる高みを目指した計画にも妥協がない。「RPA単体での活用という段階はすでに終了し、今後は他のシステムを融合させ、いかにシナジー効果を生み出すかを考えなければならない段階に入ってきたと思っています。業務改革のRPAが『ディフェンス面』であるならば、次は売り上げなどのトップラインを伸ばしていく『オフェンス面』での施策に繋がってくると面白いなと思っています。その中でRPA×AIの連携には期待をしています」(喜屋武氏)

また、RPAとAIの将来について喜屋武氏は次のように語った。「AI技術者が増えていく一方でAIを最大限活用している企業はまだまだ少ない状況です。その理由の1つとして最終的にAIをビジネスに転換できる『人材』の不足が挙げられます。効率よくビジネスを展開していくには、ビジネスに転換していく人材とAIを知る人材の橋渡しが必要になります。その橋渡しになるのがRPAではないかと思っています」 また、RPAの進化についても「RPAはAIと連携することで、まだまだ発展していくと思っています。RPAは一企業にとどまらず、生産性の向上や働き方改革などに貢献し、日本の社会も変えていく力を持っているツールだと思っています」と、今後のRPAの進化と活用に期待を寄せている。

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