お客様大東港運株式会社

業種運輸・流通

地方アジア太平洋&日本

コア業務からのRPA導入が全社へ波及し400名の企業で12.5人月分のリソース創出 業務改善に向けた意識も社内に根付く

大東港運

未経験者主導で25,000時間創出

従業員12.5人月分のリソースに相当

業務改善 意識向上

現場を知る若手の活躍の場が広がる

業務プロセスのペーパーレス化

あらゆるデバイス環境で意図した アプリのUXと機能性を実現

輸出入貨物の取り扱いに関する幅広い事業を展開する大東港運では、DX推進の一環として、人手不足の問題への対応を念頭に、業務効率化、働き方改革に向けた施策を検討。UiPath導入により、通関申告業務への適用を皮切りに2年間で120のワークフローを開発して社内の多様な業務を自動化。経営陣の理解を得て、少人数の推進体制にも関わらず従業員400人強の企業としては突出した成果につなげた。社員の業務改善やデジタル活用に向けた意識の向上にも貢献。今後より広範なビジネス領域でDXを進めていくための土壌整備にもなっている。

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CHALLENGE:人手不足など業界ならではの課題、いかに対処するかが切実なテーマ

港湾運送事業をはじめ通関業や利用運送事業など、輸出入貨物の取り扱い事業を中心に幅広いビジネスを展開する大東港運。貨物の輸出入を行う商社や物流業者からの委託により、大型船舶がコンテナ貨物の積み下ろし・積み出しを行う一時集積所から保税倉庫間の物流、食品等の輸入に必要な検疫、そして通関の申請業務までを一貫して担う。特に農畜産物など食品原料の輸出入にかかわる領域では、全国的にも高いシェアを有している。

同社はDX推進の一環として業務改革に注力する。「DXの推進は経営上不可欠なテーマです。港湾運送業界はデジタル化があまり進んでいない傾向がありましたが、近年は、お客様とのやり取りの電子化も進み、また貿易業務や港湾物流といった分野のプラットフォームの構築なども官民双方で加速しつつある状況です。当社としても、そういった動向に向き合い、DXを推進していきたいと考えていました。そうした中、経営として同時に対応を急ぐのは、国内の就労人口の減少に伴う人手不足の問題です」と、大東港運の柏木秀幸氏は語る。

「人手不足はあらゆる業界が直面している課題ですが、我々の業界ではその状況がとりわけ顕著なのです」と続けるのは大東港運の村井将宣氏。「この問題を解消するには、当然のことながら、業務の効率化を図り、従業員の働き方を改善していくことが必要です」と続ける。

さらにいえば、人手不足の背景にある我が国の人口減少に起因して、将来的に輸入食品の消費量も減っていく可能性が想定され、業界全体の取扱高が縮小傾向となる懸念もある。そうした環境変化に対応していく意味でも、限られた人員で最大の生産性を上げていくことは重要な経営課題だ。

そこで注目したのが、社内業務のルーティーン作業を自動化するRPAだった。事業の性質上、検疫や通関など行政とのやり取りが必要となる業務が多く、そこでは各種申請や申告にかかわる膨大な書類が発生する。「当社では年間およそ10万本のコンテナを扱います。1つの海上コンテナの輸出入に必要な書類の厚みが1センチを超えることも珍しくありません」(柏木氏)。

そして、それら書類の多くが、顧客から届いた受注書や伝票などをひたすらシステムに転記入力するといった単純作業の繰り返しにより作成されている。「RPAを活用してそうした作業を自動化できれば、劇的な生産性向上が期待でき、創出した人的リソースを、より専門性の高い業務へ振り分けられると考えたのです」と村井氏は語る。

SOLUTION:あえてコア業務からRPAを導入 未経験者1名で50件の自動化開発

早速、同社では複数のRPA製品のトライアルに着手。検討 の 結果、選んだ の がUiPathだった。RPA推進の現場を預かる小泉崇氏は、採用の理由をこう語る。

「実際にトライアルで利用してまず魅力を感じたのが、その洗練されたユーザーインターフェース。加えてUiPath は、他社と比べても多くの技術情報が公開されているほか、ユーザーコミュニティの活動なども活発であり、自動化の開発をスムーズに進めていけると期待しました」

あわせて、基幹システムとの親和性の高さも採用の重要な決め手となった。同社ではERPパッケージである「OBIC7」をRemoteAppと呼ばれるリモートデスクトップサービス(RDS)経由で利用しているが、そうした環境でもロボットは画面内の主要な要素を認識できた。

RPAを最初に適用する業務には、あえて主幹業務である通関申告業務を選択した。「通常であれば経理や総務、人事といったバックオフィス系の業務から適用するのが一般的だと思います。しかし、当社ではあえてビジネスのコアにあたる通関申告業務から着手しました。もし成果が上がればそのインパクトも大きく、その後の他部署・他業務の波及もスムーズだと考えたのです」と村井氏は説明する。

その傍ら同社では、村井氏の主導で社内のRPA活用推進に向けたワーキンググループを設置。各部署から1名ずつ計15名程度の人員をメンバーとしてアサインした。同グループはメンバーに各部署の業務をヒアリングし、RPA化の効果が高そうなものから実装を検討するほか、全社向けのRPA勉強会なども開催。着々とRPAの利用拡大に向けた準備を進めていった。

RPAの推進体制としては、村井氏が会社上層部や現場部門との間の調整役も含めて取り組みをけん引し、その下で小泉氏が上述のような現場を巻き込む活動に加え、実際の開発を担当。プログラミング未経験ながら、通関申告業務のワークフローを皮切りに、実に50ものワークフローをたった1人で開発した。「特に期待通りだったのは、コミュニティ活動で得られる豊富な情報や手厚いカスタマーサポートでした。これには大いに助けられました」と小泉氏は語る。

ワークフロー開発に新しく配属された人員は、営業部門からの異動だった。「もともと営業部門で事務を担当していました。単純反復作業が非常に多く、日々、効率化のための工夫を重ねていましたが、それにも限界がありました。そうした折、勉強会に参加してRPAを実際に触ってみたところ、これなら自分が今苦心している問題を解決できると思いました」と、その当事者である大東港運の八木原妙子氏は振り返る。

小泉氏のサポートを受けながら、自らの携わる営業事務関連のワークフローを完成させた八木原氏は、社内でのRPA推進業務に就くことを強く希望。ほどなく、正式に開発メンバーとして配属された。こうした異動の背景には社員のチャレンジを歓迎しサポートする同社の企業文化もあった。

BENEFIT:業務改善意識の向上と業務プロセスのペーパーレス化も実現

その頃には、RPA化の成果が社内で広まり、またワーキンググループ活動の効果も相まって、各部署からも業務自動化の要望が数多く寄せられていた。「やはり、当社のコアビジネスである通関申告業務から着手したのは正しい判断でした」(村井氏)。

その後、小泉氏と八木原氏、2人の開発体制で、UiPath導入後2年の間に自動化されたワークフロー数は、1年目に小泉氏が開発した50を加えて計120以上。創出された余剰時間は、年間25,000時間に上る。これは従業員12.5人月分のリソースに相当し、従業員400人強の企業としては突出した成果だ。「たった2人の開発体制を村井さんが強力にバックアップしてくれたこと、そして効果さえ伴えばIT投資は惜しまないという会社の姿勢に助けられました」(小泉氏)。また、コロナ禍でテレワークが進んだことを背景に、現場の業務分掌が明確になったことも導入の追い風となった。

RPAの導入が同社にもたらした効果はそれだけにとどまらない。「RPA化の可能性を探る視点から、業務改善に向けた意識が広く社内に浸透してきたことは間違いありません。そうした中で現場の業務をよく知る若手を中心に、自らの意見を積極的に発言していく雰囲気が醸成されています。RPAという共通言語ができたことで、部署間のコミュニケーションも活性化しました」と柏木氏は語る。

大東港運では、RPAによる業務効率化と並行して、ペーパーレス化のプロジェクトも推進している。かねてより通関関連の書類はPDF化し、文書管理システムにアップしていた。「しかし、PCの画面上でPDF文書を開いてチェックし、別のアプリケーションの画面で入力するといった作業を煩雑に感じ、結果、PDF文書をわざわざ印刷し社内回覧していたのです」と村井氏は明かす。

全社的なRPA活用のために、経営層がIT投資を含め環境を整えたうえで、現場の主体性に任せる。そうしたアプローチが社員の前向きな姿勢につながり、業務改善が加速していると感じます。

大東港運株式会社 上席執行役員 社長室副室長 管理部門担当  柏木 秀幸 氏

ペーパーレス化プロジェクトでは、こうしたいわば“悪しき慣習”を脱して、電子化された文書のまま業務を遂行するよう徹底を図っている。まずPDF化された書類を特定のフォルダに格納すると、RPAがそれを文書管理システムに自動登録する仕組みを整えた。さらに、モニターを2台に増やして担当者が文書内容をチェックしやすい環境を整え、PDF内の情報の転記とフォルダへの保存をRPAに任せた。

効果は目に見える形で表れた。「お客様から受け取る書類の8割は紙ですが、社内での回覧を紙ベースで行うことがなくなり、各自の机から回覧の紙がきれいさっぱりと消えました」(村井氏)。こうしたペーパーレス化の浸透も、RPA活用によりデジタル技術の有用性が全社的に共有されたことが背景にあると言ってよいだろう。

NEXT:通関業務におけるAI 活用も視野、広範な領域でDXを加速させる

以上のような成果を踏まえて、大東港運ではさらなるデジタル技術の活用を検討している。その一例が、AI-OCRの活用だ。「通関に必要な情報はほとんどが紙ベースです。そこで、通関情報をまずAI-OCRでデジタル化し、読み取った情報をRPAと連携させることができれば、さらなる業務効率化が期待できるはずです」と柏木氏は語る。

大東港運は、RPAの活用を通じて培ったデジタル推進の意識をベースに、より広範な領域でDXを加速させていこうとしている。

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