お客様富士フイルムホールディングス株式会社 / 株式会社富士フイルム株式会社

業種製造

地方アジア太平洋&日本

業務プロセス改革でRPAの効果を最大化

富士フイルムホールディングス株式会社富士フイルム株式会社 Main Image

写真フィルム業界のパイオニア的な存在の富士フイルムホールディングス株式会社(以下、富士フイルムグループ)は、富士フイルム株式会社と富士ゼロックス株式会社を傘下に持つ持株会社である。富士フイルムグループでは経理部門をはじめ多くの部門で、社内業務改革の一環として「UiPath」のRPAを導入している。ここでは同社のRPA導入への経緯や、今後の取り組みについて紹介する。

事例をPDFで読む

富士フイルムホールディングス株式会社富士フイルム株式会社 Case Study Body Image

【課題】デジタルトランスフォーメーションの一翼を担うRPA

富士フイルムグループは写真フィルムのコア事業をはじめとして、写真技術の発達過程で長年培ってきた技術を応用・活用し、イメージングソリューション、ヘルスケア&マテリアルズソリューション、ドキュメントソリューションの3つを柱として事業を展開しており、2019年1月20日に創立85年を迎えた。新たな価値の創出に向け「Value from Innovation」をコーポレートスローガンとして掲げ、全社をあげて常に改革に取り組んでいる。その改革の中核として、同社では2017年10月にデジタル変革委員会を立ち上げ、グループ全体のデジタルトランスフォーメーションによる業務改革を推進している。そこではITを活用した製品・サービスの革新、経営・企業活動の業務革新を加速できるよう全社横断活動として進めている。

こうした活動に先駆け、2016年後半までにAI、IoTなどの最新ITの活用可能性を評価してきた。富士フイルムグループのIT部門を牽引する経営企画部 IT企画部長 兼 Robotic Innovation室 マネージャー 柴田 英樹 氏は「さまざまなITのツールがある中で、技術的な調査も踏まえ、間接業務を効率化するにはRPAがうまく活用できそうだ」と調査していたことを語る。また、時を同じくして経営企画本部 経理部 マネージャー 濵田 直樹 氏も「経理部門においても、業務効率化を模索する中でRPAが使えそうだ」と、独自調査を行っていたとのこと。そして2017年1月から3月まで、経理部をパイロットとして同社でのRPAの実証実験が行われることとなった。

富士フイルムホールディングス株式会社富士フイルム株式会社 Case Study Body Image

富士フイルムホールディングス株式会社 経営企画部 IT企画部長 兼 Robotic Innovation室 マネージャー 兼 富士フイルム株式会社 経営企画本部 ICT戦略推進室 マネージャー 柴田 英樹 氏

【ソリューション】ツール選定にはERPとの親和性の高さを重視

実証実験を行う前に、どのRPAツールを使用するのか選定が行われたのだが、当時の状況を柴田氏はこう説明する。「重視したのはERPとの親和性です。それはERPの入出力業務の負荷が高く、ERP業務に関わっているユーザーが多いためです。それ以外にも、グローバルでの対応力や、導入実績、導入後の運用支援体制など、様々な観点を比較検討した結果、UiPathを含めた2社が最終選定候補に残りました。最終的には実際にロボットを作ってみて、開発のしやすさなどを含めた総合評価でUiPathを採用しました。」

パイロットとして実証実験を行った経理部は、ERPを使った業務が特に多い部門のひとつである。現在、UiPathを使ったRPAの開発は、経理部内でも行っている。UiPathの優位性について濵田氏は「プログラミングに精通していない経理部でも、ERPとの親和性の高いUiPathは、レコーディング機能によるカバー範囲が広いので、その開発の多くをレコーディング機能でまかなえ、専門知識を要する作業が少なくて済む。」と続けて説明した。

実証実験を経て、柴田氏は「RPAを活用することにより、RPA適用対象業務の7割近くを効率化できるという目論見があった。」と言う。こうしたことを踏まえ、2017年4月よりUiPathの本格導入へと踏み出していった。

富士フイルムホールディングス株式会社富士フイルム株式会社 Case Study Body Image

富士フイルム株式会社 経営企画本部 経理部 マネージャー 濵田 直樹 氏

【導入効果】RPA導入の試行錯誤で実感したBPRの重要性

富士フイルムグループのRPA導入展開は、経理部門をはじめ、グループ内のシェアードサービスを行っている給与、人事、購買業務など、RPAの導入効果の高い業務に優先順位をつけながらプロジェクト化し、RPAの導入を進めていった。本格導入が開始された2017年4月から9月までの半年間は、柴田氏いわく「プロジェクトを進めつつ、全社展開を見据え、ロボット開発の生産性向上、RPA導入のスピードアップ、RPA維持管理・安定運用も同時進行で取り組んでいましたが、やってみないとわからないことも多く、試行錯誤の繰り返しでした。」と言う。

その試行錯誤の中では、多くの「気づき」もあったという。その最たるものは「現状の業務を単純にロボットへ移行しても限定的な効果しか得られない。ならば、現行の仕事のやり方・業務プロセスを見直して、RPAを前提としたプロセスに最適化することが事前に必要だ」ということだった。

そこで、RPAの効果をより高めるためには、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)とRPA活用をセットで行う必要があると考え、2018年2月にRobotic Innovation室を立ち上げたと柴田氏は語る。「Robotic Innovation室では、RPAの活用に拘らず、様々なITを適材適所で活用することを推進している。RPAはあくまでツールの一つ。場合によってはExcelマクロで十分なケースもある。また、役割や体制を変えるだけで解決するケースもある。RPAの活用云々以前に、現状の業務を可視化することでWhy、What、Howが明確になり、最適なツールが見えてくる。」とRobotic Innovation室のゴールは徹底した業務の効率化・自動化だと強調した。

【今後の展望】部門主導で業務改革を推進できる仕組み作り

濵田氏は、経理部の短期・中長期の目標について以下のように語った。「経理部門では、経理部全員がRPAを開発し、使いこなせるところまで持っていきたい。四半期毎に段階的にトレーニングプログラムを展開・拡充し、全員が今年中にRPAの開発を必ず一回は行う。そして可能な限りルーティン業務はRPAに任せて、付加価値業務にさらに時間を割いて、各事業の参謀役にシフトしていきたい。」

また、柴田氏も直近の目標について「経理部をベストプラクティスとして、IT部門を介さず、ユーザー部門が主導するRPA活用による業務効率化の取り組みを全社に一気に拡げていきたい。」と語った。従来、ITツールの導入・活用に関しては、IT部門のリソースに依存し、業務のニーズ・課題に対する迅速性・柔軟性の観点では課題があった。こうした課題解決には、ユーザー部門が主導して開発できるRPAは非常に有効なソリューションである。ユーザー自身が開発し、使いこなすことで参加意識や愛着も生まれると言う。

続けて柴田氏いわく「RPAを導入したことにより、あらためて業務の可視化ができたので、RPAで自動化ができていないプロセスについても、今後さまざまなITツール、例えば、AI(人工知能)やBI(ビジネスインテリジェンス)を組み合わせて、業務プロセス全体を自動化・効率化できるようにしていきたい」と将来の展望について語った。妥協のない改革意欲に、デジタルトランスフォーメーションの実直な姿勢がうかがえた。

事例をPDFで読む

関連事例

NTTドコモ

顧客事例

株式会社NTTドコモ
テスト自動化が支える、アプリ配信基盤のモダナイズ
顧客事例を読む
Jatco Main Image (ja-JP)

顧客事例

ジヤトコ株式会社
R&D部門から全社展開へ円滑なシフトチェンジ。RPAを業務改革の力に
顧客事例を読む
株式会社カネカ業種:製造 Main Image

顧客事例

株式会社カネカ
全体最適とスピード改革を主眼に製造現場の自主開発を支えるRPAでワークカルチャー変革とDXを推進
顧客事例を読む

貴社がお客様事例になる準備はできましたか?

知識豊富な専門家のチームと話し、RPAからどのような利益が得られるかご確認ください。