お客様株式会社カネカ

業種製造

地方アジア太平洋&日本

全体最適とスピード改革を主眼に製造現場の自主開発を支えるRPAでワークカルチャー変革とDXを推進

株式会社カネカ業種:製造 Main Image

抜本改革

抜本的な業務改革に寄与し現場の大量繰り返し作業を解放

現場主導

UiPath StudioとUiPath StudioXを使い分け自発的なRPA活用を実現

スピード感

ワークフロー開発の内製化で業務改善の即効性を強化

ワークカルチャーの変革を進めるカネカでは、従来の仕事のやり方を根本から見直し、より高度な付加価値を生み出す仕事のスタイルを追求。あわせてDX(デジタルトランスフォーメーション)も進めていく上で、UiPathを活用した業務改革に取り組んでいる。すでにオフィスや製造現場の100以上の業務に対しRPAを適用し、プロセスの自動化を軸に大幅な工数の削減を実現したほか、大量の繰り返し作業に伴う精神的、身体的負担から従業員を解放する。ノーコードでのワークフロー開発が可能なツールの採用で、製造現場の自発的な改善を支える環境も整いつつある。

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CHALLENGE : より広い視野からの改革へ 壁を突破する強力な武器が必要

暮らしや健康・医療の幅広い領域においてソリューション事業を展開するカネカ。提供する製品は化成品から樹脂、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維まで多岐にわたる。企業として健康経営の実践も積極的に推進しており、2018年には「仕事の成果やバリューを生み出し、変革を実現するのは心身ともに健康な社員一人ひとりである」との考えに基づく「ワークカルチャーの変革」に着手。新たな付加価値を産み出す環境づくりのため、オフィス環境の改善、在宅勤務制度の拡充などの施策のほか、DXを推進し抜本的な業務改革に取り組んでいる。

「変革へ向けては、現場のメンバーが自ら改革していく習慣を定着、継続させることが肝要です。たしかに、熟練メンバーを中心に自ら業務改善を進めてきた経緯はありましたが、さて次に何をすべきだろうと壁に当たっていました。折しも、RPAが大きな注目を集め始めていた頃です。我々はそうした現場主導の改革を進めるうえで、RPAが彼らの強力な武器になり得るのではないかと考えました」と、カネカでDXの指揮を執る西健造氏は振り返る。「大きなゴールを掲げるDXの”すき間”をタイムリーに埋めていく役割にも期待しました」(西氏)。

カネカの主力製造拠点である高砂工業所で業務改善を主導する平田一雄氏は、当時の状況をこう説明する。「作業のムダを廃したり意味の無い作業を見直したりといった取り組みは、これまでも当然やってきました。ところが、作業を短縮するという課題にはまったく手の付いてない状態でした。作業の短縮には自動化が必要ですが、方策がなく解決が難しかったのです」。

現場のIT活用という点では、Excelのマクロを作成して可能な限り自動化を図るなどの工夫は従来から行われていた。「しかし、それはあくまでもExcelを使った業務に閉じた話です。本社も製造現場も状況は同じでした。RPAの活用はそうした枠組みを超えた、より広い視野からの業務改革につながるものと期待したのです」と西氏は語る。

SOLUTION : IT部門は基幹システムとの連携に 製造現場では定常業務の改善に

RPAツールの選定にあたり、いくつかの製品を比較し検討を重ねた結果、カネカが採用を決めたのがUiPathだった。その理由には、いくつかのポイントがある。

IT部門による、RPAによる自動化の主要なターゲットになるのは既存システムへの入力作業などの自動化だ。UiPathは、同社が基幹システムとして運用しているSAPや、事務処理で多用するMicrosoft Officeとの親和性で優れていることが評価された。また、今後RPAによる自動化を検討予定の他プラットフォームについても充実したコンポーネントを提供していることや、基幹システムとの連携という複雑な自動化業務においても安定的に動くことなどを考慮し、採用された。さらに当時すでに”野良ロボット”を巡る問題も指摘されていたことから、サーバー型でロボット管理が適切に行えるツールであることも重要なポイントとなった。

カネカでは、2018年後半からUiPathを利用したPoC(Proof of Concept)に着手し、2019年2月には本格運用を開始。イントラネット環境にUiPath Orchestratorを導入してロボット管理の仕組みを整えたのち、東京、大阪の両本社の各部門をはじめ、高砂工業所などにもUiPath Studioの展開を順次進めていった。しかし、ここで1点課題が残った。UiPath StudioはIT部門のツールとしては容易だが、普段Excelなどを使っている現場部門ではより簡単に、IT部門のサポートなしでも活用可能なツールを強く求めていたのだ。折しも、UiPathがプログラミング未経験でもノーコードで活用できるRPAとして新たにUiPath StudioXを国内投入したのは、まさにその最中。カネカはさっそく導入に踏み切り、2020年5月頃から高砂工業所で運用を開始した。

RPAの適用範囲

カネカの全社にわたるRPAの推進役である高木美穂氏は、IT部門、現場部門の双方がそれぞれ自走するハイブリッドなワークフロー開発体制を考えていた。「私たちがRPAの活用で目指したのは、現場担当者による自発的な業務改革です。そのため、現場でワークフロー開発を内製により行うことを想定していました。RPA初心者でも活用できるStudioXの導入は途中から決めたのですが、これを使うことで開発からエラー対応まで現場で完結することができ、当初のねらいを果たすことができました」(髙木氏)。

工業所の現場にとって重要だったのは、開発の容易さだけではなかった。IT部門のワークフロー開発は外部ベンダーに委ねる形を取ったが、同じように外注するとなると使えるまでにどうしても時間がかかってしまう。「業務改善で重要なのはスピード感です。それが損なわれたのでは、本来の目的を見失うことになります。実を言えば、StudioXの存在を知る前の段階では、UiPath以外のRPAツールで我々の思いを実現できる可能性はないかと考えたほどです」と平田氏は明かす。「StudioXを実際に導入してみると、現場の業務改善に向けたロボットの実装をタイムラグなく俊敏に進めていくことができ、十分な手応えを感じています」(平田氏)。

現場の自発的な業務改革とDXを支える新たな武器としてRPAを採用。UiPathを全社共通のプラットフォームに据え、IT部門と現場とのコラボレーションによって統制の効いた全体最適を目指しています。

株式会社カネカ IoT Solutions Center IoT推進グループ 幹部職 西 健造 氏

BENEFIT : 年間2万709時間の工数削減を実現 繰り返し業務の精神的負担も大幅軽減

このような経緯で進んできたカネカにおけるRPA活用の取り組みだが、同社では現在までに、先行導入されていた UiPath Studioについては社内、グループ企業含めて25の部門に適用され、140のロボットが稼働し、121の業務をこなす。

定量的な効果として、114業務にRPAを適用していた2020年度末の段階で、年間2万709時間の工数削減を実現している。「膨大な量の繰り返し作業からくる精神的、身体的負担から解放され、自らの業務改善に向かう余力が生まれたという現場の声も届いています。早くも現場では、RPAが業務上なくてはならないパートナーと感じてもらえているようです」と髙木氏は語る。

一方、UiPath StudioXに関しては、高砂工業所の6つの部門に導入され、現在までのロボット作成にかかわるエントリ数自体はおよそ60にのぼる。適用業務の多くは高砂工業所内のスタッフ部門だが、製造部門での活用も徐々に始まっている。日が浅いこともあってまだ事例は少ないが、例えば同工業所内で稼働する様々なシステムやExcelで管理されているデータを収集し、製造現場の月次稼働報告書を作成するといった業務がすでに自動化されている。IT部門はUiPath StudioとUiPath StudioXそれぞれに手引き書を用意し、現場がそれに準じて開発・運用を進められるようルールも整えた。

StudioとStudioXのすみ分け

「IT部門の支援に頼ることなく、自分1人で業務改善のために行動できるのがUiPathStudioXの良さ。自分の頭の中の作業イメージをロボットに覚えさせればよいのですから、それに気づいた人はバリバリと使っています」と平田氏は喜ぶ。

NEXT : 様々なシステムとの連携ニーズに 俊敏に対応する手段としても期待

今後、カネカではUiPathの活用をより広範な現場へと広げていくことになる。IT部門、現場部門によるハイブリッドな体制のもとで進めるが、「StudioXについては、高砂工業所においてすでに工業所内で自主的に浸透する展開を見せています。これを成功モデルとして他の事業所にも自動化の輪を広げたい」と髙木氏は話す。

一方、RPA自体のより高度な使いこなしにも今後チャレンジしていく。多彩な事業を展開するカネカでは、様々なシステムを適材適所で導入してきたという経緯がある。「そうした環境ではシステム間のデータ連携が非常 に 重要 に なります。ETL(Extract/Transform/Load)や EAI(EnterpriseApplication Integration)などを使った、どちらかというと恒久的な対応とは別に、ビジネス変化に応じたスピード感の求められる連携ニーズにRPAを活用していければと考えています」と西氏は話す。UiPathでは、カネカが運用する SAP や Salesforce、ServiceNowといった各種システムとの連携を手軽に実装できる、「コンポーネント」と呼ばれる部品を提供する。そうした点もカネカにとっての大きな安心材料となっている。

ワークカルチャーの変革を支える現場起点による業務改革、そしてDXへの取り組み。これらを進めていくための強力な武器として、カネカのUiPathに寄せる期待はますます高まっている。

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