お客様株式会社マルハン

業種メディア・エンターテイメント

地方アジア太平洋&日本

店舗における間接業務の効率化により接客向上と人材不足への対応

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エンターテイメントを通じて明るく楽しい社会作りに貢献することを経営理念としている株式会社マルハン。パチンコ事業を中核に展開する同社は、娯楽の多様化や社会構造の変化に対応するために、より魅力のある店舗づくりをすることで顧客の獲得と従業員の確保を目指す。店舗の間接業務をRPAで効率化することにより、店舗における接客をさらに強化することで業界のリーダーとして次世代のエンターテイメントを創造してゆく。

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【課題】サービス業として店舗での従業員の接客への集中とモチベーションの強化

株式会社マルハンは、「人生にヨロコビを」をコーポレートメッセージとし、エンターテイメントを通じてお客様、スタッフ、そして社会に喜びを提供している。その中核事業であるパチンコ事業は、娯楽の多様化や規則の変更、また社会構造の変化による遊技人口の減少などにより転換期を迎えている。さらに少子高齢化を迎える中で今後従業員の確保が困難になってゆくことが想定され、店舗における運営の効率化と、接客への比重を高めることによって従業員のモチベーションを高めてゆくことも急務となっている。

こうした背景のもと、同社が3年前にスタートしたのが「Reモデル」という取り組みである。店舗のあり方を再構築するもので、その領域は店舗自体の立地や提供するサービスなど多岐にわたる。その中でも店舗運営の見直しについて、情報システム部次長 山宿 信也氏は次のように振り返る。「オペレーションの中でも特に注力したのがノンコア業務の効率化です。店舗でのノンコア業務とは接客以外のすべての業務を指します。実は事業が拡大するにつれて様々な事務手続きが多くなり、店舗の負担が増えているという状況がありました。これをいかに効率化して接客にリソースを集中できるのかがポイントでした」

そこで業務効率化のツールとして注目されたのがRPAであった。調達本部 購買部 購買課 チーフ 石田 雅宏氏はRPAを検討した経緯を次のように語る。「偶然RPAの存在を知り、調べてゆくうちに、これは使えるという確信を得ました。そして情報システム部の山宿氏に相談し、すぐに製品選定を開始したのです。RPAとの出会いがなければ、この取り組みもなかったかもしれません」 こうして、2017年3月に同社のRPA導入の検討が始まり、ノンコア業務効率化の中心として位置づけられたのである。

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株式会社マルハン 調達本部 購買部 購買課チーフ 石田 雅宏 氏

【ソリューション】店舗の間接業務を本社に移管しRPAによって自動化

RPAの導入に向けて同社がまず行ったのは製品選定である。業務効率化という目的は明確であるものの、詳細な要件が決まっていない段階であるため、同社では可能な限り想定される要件で複数の製品を比較した。「製品選定にあたっては、各ツールのデモを見たり、説明を受けながら比較表を作りました。そこで重視したのはプログラミングのしやすさや日本でのサポート体制です。特に開発のユーザーインターフェイスは重要でした」(山宿氏) その結果、選択されたのがUiPathであった。選択の決め手となったのは、機能的な優位性に加えて価格とのバランスの良さであり、「単にプログラミングがしやすいだけでなく、グラフィカルで先進的であることも重要でした。やはりスマートな画面のほうが積極的に取り組めます」と石田氏は強調する。

UiPathの採用が決まり、次にPoC(Proof of Concept:概念実証)を開始した。どの業務を対象にするのかが次の課題となるが、その選定について山宿氏は次のように語る。「もともと社内には業務の一覧表がありました。これをもとにRPAに適している業務として、電子化可能であるか、繰り返し発生する業務であるかなどの複数の観点で絞り込みを行いました。またPoCの段階では、障害が発生しても業務に大きな影響が出ないことも加味しました」

こうして製品の実効性や効果を確認した後、本格的な業務をRPAによって実行する段階に至った。店舗からのニーズなども加味し、これまで店舗で処理されていた作業を本社に集約すると同時にRPA化することによって、店舗および本社のいずれにも負担をかけずに業務効率化を果たした。たとえば、分析用データ作成の業務では、各店舗の実績データなどを複数の業務アプリケーションからコピーし、分析用のExcelシートに貼り付けて資料を自動作成、施策の検討などに活用する。また別の業務では、法律で上限金額が決められている賞品の市場価格がその範囲内に収まっているかを確認している。全店舗で1万5千点を超える賞品アイテムに対し、これまでは手動で半年に一度5人程度の人員で1週間ほどかけていた業務である。「人手でやっていた時には調査対象も1千アイテム程度に絞らざるを得ませんでした。いまではすべてのアイテムを対象とすることができ、コンプライアンスの観点からも大きな成果を上げています」(山宿氏)

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株式会社マルハン 情報システム部 次長 山宿 信也 氏

【導入効果】店舗での負荷の軽減と本社での働き方改革

店舗業務の効率化を目的として進められたRPAの導入であるが、その効果は全社的に広がりつつある。まず店舗では事務作業が確実に削減された。店舗の従業員の中でも事務作業に従事するのはマネージャー、一般社員および事務専任の社員であるが、特にマネージャーや一般社員の事務作業の負担は精神的にも大きいという。「もともと当社は接客が好きで入社している社員が多いのです。増えてゆく事務作業によって接客業務に割ける時間が減るのは社員のモチベーションにも影響を与えます。この負担を軽減することにより、結果的に従業員の定着や接客の向上につながると考えています」(山宿氏)

またRPAによる効果は店舗だけではない。店舗で行っていた業務を引き受ける形となった本社でも同様だ。今回対象となっているのはパチンコ&スロット店舗の約320店であり、全店分を行うには膨大なリソースが本来必要である。それがRPAで実行されることに、本社の社員に負担をかけることなく店舗業務の効率化を実現できている。さらに他の本社業務にも適用することにより、本社の社員にもメリットが生まれている。「これまで早出をしてデータの準備などをしていたりしましたが、いまでは通常の出社ですぐに本来の業務を始めることができるようになりました。これは、サービス業における働き方改革につながってゆくと考えています」と石田氏は定性的な効果も含めて評価します。 このようにして導入されたRPAは、これまで20のロボットが開発され、2019年7月現在すでに年間14,000時間の削減を実現している。そのうち10,000時間は店舗での時間削減であり、当初の目的であった店舗の効率化と本社の効率化にバランスよく貢献するという理想的な効果をもたらしている。

【今後の展望】全部門での導入とルール作りによる、さらなる活用

すでに確実な効果を実感している同社であるが、さらなる活用を目指している。「今後の目標はすべての部門でRPAを活用することです。すでに実績が口コミで広がり、社内からの問い合わせが増えています」(石田氏) しかしながら、社内への展開にあたって懸念もある。そのひとつがいわゆる「野良ロボット」対策である。現在はPCを活用しながら目の届く範囲で実行されているRPAも、多くの部門で展開されると、その管理が課題になることが想定される。「そのためにはルール作りと実行環境の変更の2つで対応します。もともと作成していたルールを、より広範囲で利用することを前提に見直して再整備します。また将来的にはOrchestratorを活用した環境に移行し、管理体制を整えてゆきたいです」と山宿氏はその方向性を説明する。 さらにもうひとつの懸念が開発者のスキルである。「現在の開発環境では、全員が習得するのには少しハードルが高いと感じています。今後提供される新しい『Studio』には期待しています。Excel感覚で活用できるのが理想です」(石田氏)

事業の転換期を迎えている同社は、パチンコ事業以外のアミューズメント事業の育成にも力を入れている。またグループの総合力も高い同社は飲食事業やゴルフ事業などを中心とした関連事業を保有しており、これらの事業においても接客は最重要課題である。業務効率化によって店舗におけるお客様と向き合う時間を創出し、従業員の業務をより付加価値の高い業務にシフトすることで、市場環境の変化に合わせた変革を続けてゆくことだろう。

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