お客様南砺市

業種公共

地方アジア太平洋&日本

自律的な組織で更に市民に寄り添うサービスを

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地方自治体の合併が進む中、8つの町村が合併し誕生した南砺市では、市民サービスを提供する市庁舎の統合が2020年に予定されている。誕生から15年を経て大きな節目を迎える南砺市は、これを機に本庁舎の組織再編や人材配置の適正化等の業務改革を推進している。今回は組織統合による業務の見直しを見越して、自律的な組織を目指す南砺市が活用するRPAの導入プロジェクトの経緯を紹介する。

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【課題】庁舎統合後も市民サービスのレベルを維持して提供する

南砺市は富山県の南西部に位置し、面積の約8割を森林が占め、山間部と平野部から構成されている。山間部には、世界遺産に登録された「五箇山合掌造り集落」があり、世界中から観光客が訪れ、古き良き日本の原風景を堪能できる。また、平野部には美しい街並みと多くの彫刻工房が軒を連ね、香り高い歴史や文化が感じられる魅力的な街である。

人口減少、少子高齢化が加速する地方自治体では、市町村の合併が進んでいる。ここ南砺市も例外ではなく、2004年に8つの町村(城端町、平村、上平村、利賀村、井波町、井口村、福野町、福光町)が合併し誕生した。2019年6月現在、琵琶湖と同程度の広さを持つ南砺市に4つある分庁舎を2020年7月までに1つに統合する条例案が、2018年11月に開かれた市議会で可決された。市民サービスの質を下げることなく拠点の統合を進める取り組みとして、「定型的な業務に時間を割くような、いわゆる『お役所の仕事』のやり方を抜本的になんとか変えたいと常々思っていた」と田中幹夫市長は語る。田中市長によると、これまでもコンビニエンスストアで住民票・印鑑証明書・戸籍の証明書を取得できるシステムの開発など、窓口業務の負荷軽減・市民の利便性向上にいち早く取り組んできていた。しかし、視察で訪れた海外で、カード1枚であらゆる手続きが完結し、空港でも駅でも簡単に取得できる国もあることを知り、業務の部分最適・効率化ではなく、市民サービスの在り方を根本から変える方法を模索するようになったという。

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富山県南砺市 市長 田中 幹夫 氏

【ソリューション】職員はまちづくりの最前線へ、職員が自分で活用できるソリューション

田中市長は、今回の庁舎統合を好機と捉え、「分庁舎ゆえに非効率にならざるを得ない業務がある。そうであればこのタイミングに合わせて、行政サービスの在り方を変えていきたい。理想として職員は、まちづくりの最前線に立ち、市民が安全安心に過ごせる環境づくりや地域のセーフティネット作りなど、行政でしかできない仕事に従事し、誰もができる定型業務はどんどん自動化していきたい」と語る。 そこで検討したのが、RPAによる業務の自動化だ。かねてからRPAが民間企業で取り入れられているのは聞いていたため、職員による業務自動化を念頭に、行政分野での活用も可能ではないかと思い推進する事になったという。

そして、RPAプロジェクトを立ち上げた2018年12月からわずか3カ月で、RPA対象業務の選定、RPAの開発が行われ、同年4月から本番稼働が開始された。南砺市 市長政策部 行革・施設管理課 課長 石﨑修氏によると、RPAプロジェクトは対象業務の洗い出しから進められ、30業務程度の自動化が検討された。そこから以下の選定基準によって絞り込まれた。

年次業務より日次又は月次で発生する業務

より効果を短期的に検証し、同ソリューションを組織内で浸透させる目的で頻繁に発生する作業を選定

投資効果(ROI、削減時間数)で業務を分類

定量効果の視点で4ランクに分類し、上位2ランクまでを優先的に選定

RPAシナリオの構築難度が低い業務

職員の経験に基づく判断が無い、決定パターンがシンプル、手順に一貫性がある、などの要素から迅速な設計・制作・テストを見込める業務を選定

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南砺市 市長政策部 行革・施設管理課 課長 石﨑 修 氏

【導入効果】88%の削減効果だけでなく、操作ミスの減少も実感

自動化対象の業務は、判断基準に則して最終的に4業務に絞られた。2019年4月に本格稼働し、開始後ほどなくして年間407時間の削減効果が見込まれる検証結果が出た(2019年6月現在)。特に会計課の日次業務である税金収納消込業務では、年間業務時間154時間が18.4時間に削減され、88%の削減率になるという。毎日繰り返される業務を削減することで、担当者が休みを取りやすくなる。地方自治体では一般的に約3年周期で繰り返される人事異動においても、業務の引継ぎが簡単になるなど、大きな効果が期待できる。RPAが職員の働き方改革の一翼を担うことになった。

また、それだけでなく、人為的な操作ミスなどのリスクを低減できる効果も大きい。「二重三重のチェック作業が不要になったのが心理的にも大きい効果だ」と南砺市 市長政策部 行革・施設管理課 主幹 行革推進係長の中島吉範氏は語る。南砺市では、市民サービスの在り方を抜本的に変えるという市長の思想のもと、RPAでの業務自動化をきっかけにBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング=業務改革)そのものを推進し、更なる業務の適用領域の模索が続けられている。

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南砺市 市長政策部 行革・施設管理課 主幹 行革推進係長 中島 吉範 氏

【今後の展望】職員が定型業務を自動化しサービスに注力できる自律的な組織を目指す

前述の通り、開始からわずか数ヶ月のプロジェクトは、既に効率化が始まりつつあり、今後の方針としては、職員自ら自動化を行うことで、更なるメリットの享受・共有・拡大を打ち出している。田中市長が考える組織は「自動化の中で得た気づきをきっかけに、自律的に業務改善を進める組織」 「今は、日本人の強みである勤勉さによって、従来のやり方を踏襲して業務をきっちり遂行する時代では無くなってきている。市民から見た従来のサービスを変えず、行政の組織内の効率化を進めるのが大事。全国的に人口減少も進むなかで、30年前・10年前・現在の課題は全く違う。常に最善策を模索する必要があるのではないか。そういった行政の質を更に強化するような分野に人的資源を集中させる。一方、定型業務は自動化する。そんな時代になっていく」と田中市長は考えている。

田中市長は、「職員は、自分自身のコストを念頭に置いて業務に従事するべき」と常々呼びかけているという。2020年7月の庁舎統合を起点に、更なる行政組織の改革を進め、自動化技術の活用もますます進んでいくはずと、将来を見据えている。

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