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ロボット1台からのスモールスタート、必要な情報はUiPathアカデミーとインターネットで

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日本リック株式会社は「総合人材サービス」「介護事業」を主事業とする総合人材サービス企業だ。人材を中心にビジネスを展開しているため人手を介さずに済むような業務はできるだけシステムで代用し、そこで浮いたリソースはコア業務に割きたいと考え、RPAの導入に至った。その導入目的を「業務時間の削減」よりも「RPAによって浮いた時間をコア業務にシフトさせること」を主眼とした、日本リックのRPA導入による効果や将来への展望について紹介する。

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【課題】人材リソースの有効活用、コア業務へのリソース転換

日本リック株式会社は1984年の創業以来人を通して社会に役立つ会社を目指し、人材サービス事業、福祉介護事業と事業領域を拡大している。近年では人材派遣・人材紹介に関連した事業だけでなく、データセンター事業、新規顧客開拓営業、イベント運営など多彩なBPOサービスを手がけている。同社では働き改革の流れもあり、人手を介さずに済む業務はできるだけシステムで代用したいと考えていた。その結果、浮いたリソースをコア業務に振り向けることができないかと検討していたという。そのことについて、総務部 部長 引野 隆之氏は次のように語った。「浮いたリソースについては新たな事業展開や営業活動に注力するなどさまざまな活用方法があると思います。そう考えたとき、その解決方法の一つとしてRPAの導入があるのではないかと考えました」

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日本リック株式会社 総務部 部長 引野 隆之 氏

同社がRPAを知るきっかけとなったのは、RPAというテクノロジーに注目が集まり始めた2017年のことだった。当時、RPAはまだ浸透していないものの、注目のテクノロジーとしてRPAに関する展示会・イベントが各所で開かれはじめており、その頃に人材サービス部門の担当者がRPAの展示会に足を運ぶ機会があり、RPAの凄さを総務部に対して伝えることが多かったという。そこで2018年秋頃から、RPA導入に向けて本格的に動くこととなった。

【ソリューション】「UiPathアカデミー」を活用して独学でPoCを実施

RPAの導入を進める上でまず製品選定が行われたのだが、選定から社内への展開までを担当した総務部 社内システム担当 リーダー 安原 哲也氏はRPAツールの選定理由について次のように説明した。「RPAツール選定にあたって、いくつかデモを見せていただき、当社のシステムでうまく稼働するのかどうかという観点から比較していきました。なかでも当社の基幹システムとの親和性がもっとも高かったのがUiPathでした。また、インターフェイスの分かり易さも導入の決め手の一つでした」

そしてUiPathのRPAを採用することになった同社は、2018年11月からPoC(Proof of Concept:概念実証)を開始した。このPoCに際しては、安原氏が独学で学んで実行していったという。「当時のUiPathは日本語に対応したバージョンの2018.3のリリース直後で、英語表示というハードルが無くなったのには助けられました。PoCについては、わからないところは無料でRPAを学べるオンライン学習サービス『UiPathアカデミー』で基礎を学び、分からないところはWEB上で調べるなどすべて独学で完結できました。UiPathはオンライン上に情報が溢れているので独学でも学習しやすい環境が用意されていました」(安原氏)

PoCで試したのは、総務部門で行っていた次のような業務だった。WEBサービスの中からフィルタをかけZIPデータをダウンロードしそれを解凍。その中にある指定された特定のPDFファイルを1回開き、パスワードを付与して保存し直すという作業である。しかしそのPoCは当初はうまくいかなかったという。 「もう少しシンプルな作業からスタートすれば良かったのかもしれませんが、最初はすんなりとは動いてくれませんでした。そこでこれもWEB上の情報などを独学で参照することでトライ&エラーを繰り返しましたが、一人で解決へと導くことができました」(安原氏)

こうしてUiPathの実効性や効果を確認できたことで、2018年の年末には本格導入を果たした。そして2019年から社内の各事業部でRPAが展開できそうなメンバーを募り、「UiPathアカデミー」を活用したRPAの勉強会を定期的に開催している。現在では定常業務だけではなく、アドホック業務も含めてRPA化し、約15業務をRPAで動かしているという。

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日本リック株式会社 総務部 社内システム担当 リーダー 安原 哲也 氏

【導入効果】単純業務から開放によるストレスからの解放

RPAを導入してからまもなく1年間が経とうとしている日本リックであるが、RPA導入による削減効果の数値目標は立てていないという。 「RPAによる業務の削減効果は現在、年間で100時間程度ですがまだ細かく計測してはいません。というのも、RPA導入の目的が『業務時間の削減』ではなく『RPAによって浮いた時間をコア業務にシフトさせること』を主眼にしているからです。そのため、費用対効果を考えたガチガチな数値を削減目標としていないのです」(引野氏)

ロボットが稼働している時間は、その担当者は別の業務に当たることができるので「ロボット稼働時間=業務削減時間」となる。しかしそれだけでなく、単純業務から開放されることによるメンタル的な要素も大きいと安原氏は話す。

「単純作業の場合、10分、15分程度で処理できる業務だとしても『面倒だからやりたくない…』『またあの作業か…』という考えに陥りがちです。しかし、このような憂鬱な単純作業も『ロボットが終わらせている』と考えると精神的に良い効果を得られるでしょう。RPAはメンタル面の効果もあると思います」 「自分たちの業務は自分たちでRPA化しよう」というコンセプトを掲げている同社。当面の目標としては「簡単な業務でも良いので各事業部の担当者が自分の業務のワークフローを作成できるようになること」だという安原氏は続けて次のように話す。「ただ、ワークフローを作成する人と、業務の切り分けができる人と、実際に業務をしている人がバラバラのケースもあります。その場合は実際に業務をしている人を呼んで横に座ってもらい、その場でワークフローを作成するようにしています」 RPA化する業務についてのヒアリングシートを記入してもらうとなると、そこに時間がかかってしまい出来上がってくるまでに日数を要することも多くなる。そこで「これから2時間空けてくれない?」とお願いし、その場でワークフローを作成しているという。また話しながら行うことで、見えなかった無駄や業務改善にもつながっていると安原氏は説明する。

【今後の展望】UiPathの外販につながるRPA技術者の育成に期待

日本リックでは現在、開発用の「UiPath Studio」と実行ロボット「UiPath Robots」をそれぞれ1台ずつ、スモールスタートでRPAの導入をしている。(2019年9月現在) しかし、定期的に稼働している業務もあるため、そこでRPAの開発や研修が止まってしまうケースも発生するようになっているという。「そこでまずは、業務自動化を開発するためのロボットを2台にしたいと考えています。またワークフローを実行するためのロボットも、各部門サイドから『ワークフローを作成したからロボットを増やしてほしい』という声が自発的に上がってくることを期待しています。将来的にはロボットが増えることで、ロボットを一元管理する『UiPath Orchestrator』が必要になるくらいRPAが浸透してくれるといいなと思っています」(安原氏)

日本リックは、ホビー用途が主体だった1980年代初頭のPCにいち早く目を付けた創業者が起業した会社である。そのため、RPAのような新しい技術は本来、会社として率先して取り組んでいってもおかしくない。「もう少し皆がRPAに関心を寄せてもらい、『自分でもワークフローを作成したい』『UiPathの外販につながるRPA技術者の育成はできないだろうか』という声が上がってくることを期待しています」と引野氏は話す。 続けて引野氏は「BPO・アウトソーシングサービスとしてUiPathを使える人材をうまく他社でも展開できるようになれば、当社のコア業務である人材サービスビジネスにも貢献できるのではないかと考えています」と日本リックにおけるRPAの将来像について語った。

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