お客様パーソルテンプスタッフ株式会社

地方アジア太平洋&日本

全社レベルで事務処理の集中化を図りRPAを活用することで高い生産性を実現

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総合人材サービス業界最大手で、人材派遣ビジネスの草分け的存在であるパーソルテンプスタッフ株式会社(以下、パーソルテンプスタッフ)では、複雑で慎重な処理が求められる契約管理を中心に業務改革を行った。その際に注目したのがRPAだ。そして現在、同社では基幹システムと連携した契約管理業務に「UiPath」を活用している。ここでは、その取り組みを紹介する。

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Persol Case Study Solution Overview

テクノロジーを駆使して構造改革を

パーソルテンプスタッフはグローバルに総合人材サービスを展開するパーソルグループの中核企業である。同グループは、人材ビジネスの世界で6年連続トップの業績を上げ、世界600拠点以上で事業を展開。2016年6月からは新グループブランド「PERSOL」を掲げ、2017年7月にテンプスタッフから現在の社名に商号を変更して、グループ企業の統合などで経営体制の強化に取り組んできた。

同社がRPAの導入を検討し始めた背景には、人材派遣業界特有の事情がある。労働者派遣法が度々改正され、その都度、通常の業務を行いながら業務処理の方法を変更しなければならず、現場社員の負担が大きかった。さらに、個人情報を取り扱うビジネスだけに高いセキュリティレベルも求められる。

同社の業務改革推進本部 業務改革推進部 RPA推進室 室長の矢頭慎太郎氏は「事業規模が拡大していく中で、社内業務の構造を転換する必要に迫られていました」と語る。

同社では、ノンコア業務である事務処理と、コア業務である営業活動を切り分けて分業化を図った。それらの業務をさらに効率的に処理するために注目したのがRPAの活用だ。

「これまでは、売上の増加と比例して従業員も増やしてきました。テクノロジーによってその対応を転換し、事業拡大のスピードアップを狙いました」と業務改革推進本部 本部長の渡部広和氏は説明する。

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業務改革推進本部 業務改革推進部 RPA推進室 室長 矢頭 慎太郎氏

 

2本立てでRPA活用の可能性を探る

同社が最初に取り組んだのは、RPAに精通したコンサルティングファームの協力を得ることだった。グループ企業にシステム開発を手がける関連会社もあったが、当時はまだRPAのノウハウがなかったので、外部のコンサルティングファームを選定。そして、RPA推進室を新設すると同時に、コンサルタントを交えて本格的な検討を開始した。

「RPAの活用のシナリオは2本立てで考えていました。一つは現場の業務改善のサイクルを素早く回してトライ&エラーを繰り返し、効果検証を行うこと。もう一つは、じっくりと標準化などを徹底した上で、基幹システムを使用した契約管理を行うことです」(渡部氏)

前者のシナリオは3つの案件を用意してPoC(Proof of Concept:実証実験)を行い、後者については大掛かりに進める案件として位置付けた。PoCとして想定していたのは、インターネット上の乗り換え案内アプリケーションから交通費のデータを読み込んで人事管理システムに反映させる業務、グループ企業間で人材情報を交換するために本人の同意書をネット経由で受け取ってデータベースに登録する業務、そして通勤交通費の申請と承認の業務だった。

「当初候補だったRPA製品は、インターネットの画面からデータが抜き出せない、仮想環境で動いているシステムのデータが読み込めない、といった問題があることがわかりました。それに対応可能なUiPathの存在を知り、導入してPoCを行うことにしたのです」と渡部氏は当時を振り返る。しかし、このPoCはうまくいかなかった。その原因は「知見不足と要件定義の不備」にあった。

「運用している人が構造を理解していないと、何かあった時に対応できないことがわかりました。開発案件と同じように、運用現場を詳しく調査・整理して、より細かく設計することが必要だったのです」と業務改革推進本部 業務サポート部 部長 杉田清志氏は語る。

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業務改革推進本部 業務サポート部 部長 杉田 清志氏

 

RPA化の削減効果は月1万時間以上

PoCと並行して進められた基幹システムと連動した契約管理へのRPA活用は、大きなインパクトをもたらした。「委託していた仕事を再び内製化するために、RPA活用をやり遂げるしかないという不退転の決意が強くなりました。しかも、本格的な接続を開始した2月という時期は、3月の繁忙期を迎える直前です。デッドラインを目の前にして、緊張感と覚悟に突き動かされて必死に取り組んでいました」(渡部氏) 

こうしたRPA推進室側の緊張感と覚悟は現場の担当者の気持ちにも大きな影響を及ぼしていたようだ。こちらは大掛かりなシステム案件となったが、データをインプットするエクセルシートを標準化することから着手した。

渡部氏は「元は同じエクセルシートだったのですが、地域ごと業態ごとに“進化”して、120通りのバリエーションが派生していました。これを標準化することがまず必要だったのです」と説明する。

「2017年6月から開始、7月にはエクセルシートを一本化して、必要とされる機能を仕様書に落とし込みました」と渡部氏。8月には開発経験のある人材も投入して、ロボットの開発をスタートさせた。

しかし、すぐに稼働させられたわけではなかった。連動する基幹システム自体のリプレイスが8月のカットオーバーを目指して進行中だったからだ。そして、基幹システムとつなぐための独自のアプリケーションの追加開発もスタートさせ、その完成後にロボットと接続して本稼働にこぎつけたのは、2018年2月のことだった。

「本稼働開始の時期は後ろにずれ込んでしまいましたが、契約管理業務における処理の7割から8割を人からロボットに置き換えることができました。月1万時間以上の削減効果が生まれています。外部に委託していた作業も、ロボットを業務プロセスに組み込んで内製化することで1/10の運用コストでできるようになりました。品質、コスト、デリバリーのすべての面で大きなメリットが得られています」と渡部氏は評価する。

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業務改革推進本部 本部長 渡部 広和氏

 

現場を巻き込んだことが成功要因に

成果を上げられた要因は「現場の担当者がカットオーバーに向けてコミットしてくれたこと」だと渡部氏は指摘。「PoCの時には現場からは要望だけが寄せられましたが、契約管理業務のRPA化では一緒に考え、ともに手を動かしてくれました」と渡部氏は話す。

ターゲットとなったのが契約管理という同社の事業基盤となる業務だったことが現場の姿勢の変化を後押しした。契約管理業務の処理が滞れば、顧客に迷惑がかかるからだ。

基幹システムが切り替わるタイミングだったことも結果的に幸いした。基幹システムが変わることで業務プロセス自体が変わる面もある。「この機会にしっかりしたやり方を新たに作り上げようという発想にシフトできました」と杉田氏は現場の変化を指摘する。

同社はRPA化に成功したことで、契約管理業務の集約をスピーディーに、しかもローコストで一段と進めることが可能になった。そのおかげで各拠点の事務作業負担は軽減され、本来の営業活動にシフトできるようになっている。

「今進めているのは対象拠点の拡大です。対象範囲を東京から関西、東海へと拡大しており、さらにエリアを加速させていきます。適用する事業領域についても順次拡張していく予定です」(渡部氏)

 矢頭氏も「今でもその都度人手で処理している業務が多く、RPAのニーズは随所にあります。RPA化には“現場のコミット”と“要件定義”が大事なことがはっきりとしました。この2つをしっかり押さえて、社内にRPAを広げていきたい」と意気込みを語る。

 最後に渡部氏は、「UiPathは接続性に加えて先進機能とつなげる拡張性が優れていると評価しています。“挑戦と変革”は当グループの行動指針の一つ。これからも新しいことに積極的に挑戦していきます」と強調した。同社のRPAの活用は今後も広がっていくことは間違いないだろう。

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