お客様YKK株式会社

業種製造

地方アジア太平洋&日本

RPAグローバル展開に向けた社内推奨ツールとしてUiPathを採用

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ファスナーの製造・販売により、約70ヵ国・地域で事業を展開するYKK。お客様に「より良いものを、より安く、より速く」提供するため、納期短縮、業務の効率化に向けて国内外でRPAの活用を始めた。当初は複数のRPAツールが採用されており、ツールの社内標準化とガバナンスルールの策定に向けた取り組みが行われることとなった。ここではグローバル企業ならではのRPA導入の経緯と取り組みについて紹介する。

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YKK Case Study Solution Overview

【課題】社内で部門判断による複数のRPAツールが並行展開

YKK株式会社(以下、YKK)は、1934年の創業以来、数多くのファスニング商品を製造・販売し、世界に誇る「日本のものづくり」を牽引してきた製造業のひとつだ。創業時より「善の巡環」、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という考えのもとに事業を継続してきた。その事業エリアが、日本だけでなく全世界に展開するグローバル企業となった今でも、創業時の精神は各地で変わらず受け継がれて、「より良いものを、より安く、より速く」を実践し、より高い価値のある商品をより多くのお客様、そして社会へ提供し続けている。 こうした考えに基づいて、工夫・改善を重ね、業務の効率化を各地域、各部門で絶えず模索し続けてきた。そこでYKKが目を付けたのがRPAを活用した業務効率化だ。ここで、YKK内で早々にRPAを導入した例についていくつか紹介する。

「Fasten」=留める、つなぐもの を取り扱うファスニング事業がYKKの中核ビジネスである。 お客様の縫製工場の海外進出にあわせて、1960年代より海外に現地法人を設立し、海外拠点での製造・販売に取り組んでいる。アジアの海外拠点では雇用の流動性が高く、担当者が頻繁にかわる中でも、納期短縮、営業業務の効率化を進め、一貫した業務を行えるよう2016年12月よりRPA導入に向けた活動を開始し、ファスニング商品の受注業務等では大幅な工数削減を実現していた。

一方、国内では2017年5月から、YKKグループへのシェアードサービス事業を展開するYKKビジネスサポート株式会社(以下、BSI)においても、受託した間接部門業務のさらなる効率化を目的にRPAの活用に取り組み、RPAでの業務効率化を確かなものとしていた。

しかし、現場主導で開始されたRPAは各部門、各事業所で使われていたRPAツールが統一されておらず、RPAの管理面に課題が残っていた。そこで、全社での管理性を向上することを目的にYKK情報システム部に推進プロジェクトを立ち上げ、2017年9~12月にかけ検討を行い社内推奨のRPAツールとしてUiPathを選定した。

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YKK株式会社 情報システム部 IT戦略企画グループ 推進リーダー 村澤 利彰 氏

【ソリューション】UiPathの高い汎用性とUiPath Orchestratorによる可視化を重視

YKK 情報システム部 IT戦略企画グループ 推進リーダー 村澤利彰氏によると、ツール選定の要件として、グローバルで活用できることを前提として対応が可能な3社に候補を絞って製品を検証したという。更に、ロボットもエンタープライズ規模で導入することを想定すると、管理・統制という課題もあり、サーバー管理機能が実装されていることも選定の基準になった。UiPath Orchestratorによるロボットの可視化、ワークフローの管理機能、またウェブシステムや基幹システムなど、最終的に自動化できる適用範囲が広いことから、UiPathが総合点で最も高かったという。

BSI内で開発を主導したRPA開発チーム 湊裕史氏によると、「他社製品は画像認識作業をスムーズに行うために画面遷移や切り替えの時間設定に余裕を持たせるワークフロー作りになりやすく、自動化作業のスピードがあまり早くならなかったケースもある」という。画像認識機能が動作環境のコンピュータ性能に依存するため、安定的な作業を設定するためにはスピードを犠牲にしたワークフロー作成となったのだ。結果、自動化はしたが、作業スピードとしては人間が作業するスピードと同等または少し劣るぐらいになるケースもあったそうだ。更に、他社製品だとウェブシステムが更新され、インターフェース画面の配列・色が変わっただけで、画像認識の不具合が出て、修正作業が必要なこともあったという。その点、UiPathは画像認識ではなく、UI(ユーザーインターフェイス)の要素を捉えてワークフローを設計できるため、「ロボットが業務を遂行してくれていると実感できるようなスピード感があり、ウェブのインターフェースが変わっても問題なく動作した」と湊氏は説明する。

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YKKビジネスサポート株式会社 経営管理グループ RPA開発チーム  湊 裕史 氏

【導入効果】単純な工数削減だけでなく、お客様からの要望に迅速に対応することが可能に

2018年1月よりYKKの総務・人事・経理など管理部門において業務改善活動が始まり、RPAを活用した業務効率化に取り組み始めた。自社内での開発実績をいかし、YKK管理部門に導入するRPAの開発を受託するBSI経営管理グループ長の石倉由紀氏は「RPA導入の効果分析はまだこれからですが、第一段階として計画を含めると国内の管理部門で80のワークフローが稼働し、2019年年末までの試算で年間7900時間ほどの業務量削減が見込まれる」と語る。

YKKとしてはまだまだ適用範囲を広げることで成果を拡大させる予定だが、単純な削減時間数だけでは測れないメリットも生まれ始めている。ファスニング事業の営業部門では受注入力業務を自動化することによって作業ミスが減少し、短納期など、お客様からの要望に更に迅速な対応を目指せるようになったのだ。入力作業にかけていた時間を短縮できたことにより、よりお客様とのコミュニケーションの頻度を増やすことも期待できるようになりつつある。これはビジネスに直結する重要なメリットと言える。ロボットの活用が広がることにより、更に成果が大きくなることも見込まれている。

また、課題であったツールや運用性の統一について、社内でRPAの推進体制を構築し運用フローや開発ルール等のガバナンスルールを業務部門と情報システム部で策定し、2019年1月よりガバナンスルールを展開し全社展開の礎を作ってきた。

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YKKビジネスサポート株式会社 経営管理グループ長 石倉 由紀 氏

【今後の展望】横展開と啓蒙活動で、より多くの部門・地域にRPAを展開

YKKでは事業基幹システムおよび会計業務はグローバルで同じシステムを利用している。「今回開発したワークフローは各事業地域に広く活かすことができる。今後はまず、自動化の適用範囲を横展開し、恩恵を国内外に広げていきたい」と村澤氏は説明する。しかし、社内へ横展開するにあたり、まだまだRPAに対する認知が足りない部門も多いという。まずは、社内への集合セミナーなどの啓蒙活動を行い、情報共有基盤も今後作っていきたいと国内外へのRPAの全社展開にも余念がない。

一方で、雇用の流動性が激しい地域、国においては、定常業務をRPA化できることは業務の安定にもつながる。しかし、アジアを中心にRPAの推進役を担当するYKKファスニング事業本部 アパレル戦略推進部 ジャケット分野推進室 橘 俊徳氏は、「RPAは選択肢の1つ。どの業務がRPAの最適解なのか、事前に業務分析をしっかり行うことが重要」とBPRの重要性と、様々な文化が入り混じるグローバル企業についての難しさを指摘しながらも、「これから成長する市場だと位置づけられる国・地域についてはRPAを推進して、ビジネス拡大に繋げるための基盤にしたい」と未来を見据えている。

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YKK株式会社 ファスニング事業本部 アパレル戦略推進部 ジャケット分野推進室 橘 俊徳 氏

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