企業のデジタル活用が2極化?2020年はRPAを使いこなすステージへ

Partner Forward 2020

UiPathのパートナー企業さまをご招待して開催する年次カンファレンス「UiPath Partner Forward 2020 Japan」を、去る2月4日(火)に赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催いたしました。

当日は、UiPathが目指す姿についてのメッセージを皮切りに、RPA業界の現状と未来についてのIT専門の調査・コンサルティング会社MM総研による講演、パートナー企業さまの取り組みのご紹介、パートナー企業の表彰など多数の方に登壇いただきました。

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開会のご挨拶で、代表取締役CEOの長谷川康一は「A Robot for Every Person―すべての人にロボットを」というUiPathのビジョンについてあらためて言及。「自動化によって働く人間が脇役に追いやられるのではなく、一人ひとりの能力を高めるテクノロジーとしてRPAを推進していきたい。パートナー企業さまからのご意見のフィードバックをいただき、ともに日本を元気にするために2020年もがんばりたい」と新たな年度への意気込みを伝えました。また、パートナー企業およびユーザー企業への具体的な支援策のひとつとして、今までの知見を活かした、導入メソドロジーなどのナレッジの提供を強化していくと説明しました。 

続いて登壇した取締役CROの鈴木正敏は、もうひとつのキーワード「RPA as Enterprise IT―企業活動の大規模な自動化」を取り上げました。「これは特定の業務の自動化や働き方改革にとどまらず、基幹システム全体を自動化することで“企業活動”全体を自動化することを指します。これにより開発スピードの向上、ユーザーの負担軽減などに貢献できると考えています。今後は、基幹系業務システムに極力、直接に手を加えることなく、さらにユーザー要件を削ることもなく、その周辺システムもRPAで巻き取っていけるようなシンプルなアーキテクチャを実装していきます」と鈴木は語りました。

そして「“A Robot for Every Person”で一人ひとりがロボットを使いこなし働き方を改革、さらに個人が属する企業でもRPAをEnterprise ITとして活用し、企業活動を自動化することで日本企業の生産性向上に寄与していきたい」と締めくくりました。

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なぜこれだけRPAが注目され続けるのか。IT専門の調査会社が徹底分析

株式会社MM総研

今回の講演者は、IT専門の調査・コンサルティング会社である株式会社MM総研の執行役員・研究部長を務められる中村成希氏です。同社が実施したRPAの国内利用動向調査の結果を基に、「RPA国内利用実態と展望2020」と題して語ってくださいました。 

今回の調査はWEBアンケートとして2019年11月に実施。年商50億円以上の企業に所属する情報システム部門及び経営企画部門が対象です。特徴的なのは、通常こうした調査の対象は、情報システム部門がメインになることが多いのですが、同社の調査では情報システム部門は3割、経営企画部門が7割という比率です。1,021社の回答をもとに分析しています。

「今年で3年目となる調査ですが、今回はRPAの導入率は38%と非常に好調であるとわかりました。特に年商1000億円以上の大手企業に絞ると、すでに過半数が導入済み。1年半で導入率は16ポイントの増加。未導入企業は21ポイント減の25%。今後さらに導入のスピードは加速するでしょう」

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ここで中村氏は、非常に興味深いデータを紹介。RPA、携帯電話、パソコン、スマートフォン、クラウドサービスの5つのテクノロジー製品の導入率と時系列の関係です。 

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「なんとRPAはスマートフォン並みの驚異的なスピードで普及しているのがわかります。クラウドサービスを上回ります」と中村氏。すでにさまざまな業種で普及期に突入しているといいます。さらに「直近3年間の社会的な背景として、2019年は多くの企業がパソコンOSの入れ替え作業に追われたという事実があります。そのためRPA導入にまで手が回らなかった企業も多かったと私はみています。そういう意味では、2020年はいっそう普及に拍車がかかり、導入率は50%に届くだろうと予測しています」

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すでに導入期は終えた。いかに使いこなすか、が時代的な課題に

さらに興味深い結果も出ました。RPAを導入した企業の約半数が、複数のRPAを導入しているのです。その理由としてもっとも多かったのが「比較検討・テスト」のためで36%。次いで「互換性・使い分け」が27%でした。さらに「安定稼働・リスク分散」という目的が続きます。複数のRPAを使い分けているというよりは、現状では比較検討段階の企業が多いとわかります。

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ただし企業内の浸透率は平均35%という結果も。「まだまだひとつの企業内をみると、RPAを使用していない部門が多いのです。今後はRPAの“よさ”を水平展開していくことが重要になります」と中村氏。つまり導入から、RPAを使いこなすステージへの移行期となっているのです。

RPAを使いこなしているか否か、それが企業の価値になる?!

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今回の調査でもっともユニークだったのは、「RPAとAIの相性のよさが浮き彫りになったこと」だと中村氏は指摘します。「RPAとAIの両方の活用に対して80%の企業が前向きであるとわかりました。さらに面白いのが、AI活用率・CDO(Chief Digital Officer)設置率・DX実施率のいずれもが、RPA導入企業で高いという結果になりました。企業のデジタル活用のスタンスは、二極化が進んでいるといえるでしょう」 さらに「RPAの浸透度合いが、近い将来、企業の付加価値の尺度になるのではないか」と予見します。RPAの出現は、「労働生産性」を高めるという価値基準から、それ自体が「企業の付加価値」そのものにシフトするというのです。 

2020年はRPA活用の本番の年。UiPathもさらなる支援に尽力

「今後、RPAとともにデジタル革新はいっそう進む」と中村氏は断言します。RPAの全社導入には3つの課題があります。人財育成・ノウハウという「人」の課題。業務の標準化、縦割り組織、IT環境などの「組織・プロセス」の課題。そして欠かすことができないROIという「予算」の課題です。 「今もっとも大きな障壁は、人財不足です。解決策として外部サービスを利用する企業が多いです。その際に選ばれるのは、やはりサポートの手厚い導入実績の豊富なSIベンダー。サポートも、単に使い方のサポートだけでなく、使いこなすための支援が求められているようです」。言い換えれば、RPAのプロフェッショナルかどうかという軸で、顧客は吟味しているともいえるでしょう。

 最後に中村氏は「RPAは今後新規顧客との重要な接点となり、SIビジネスに大きなインパクトを与えるでしょう。2020年からがRPA活用の本番です」と結びました。UiPathも、ますます必要に迫られるRPA市場において、RPAのプロフェッショナルとして、日本企業の生産性向上の支援にさらに尽力したいと考えています。

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