お客様JXTGエネルギー株式会社

業種エネルギー・インフラ

地方アジア太平洋&日本

RPAで18,000時間を削減、石油元売業界からデジタルトランスフォーメーションを目指す

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石油の国内需要は、少子高齢化、電気自動車の普及、自動車の燃費向上などを理由に減少の一途を辿り、厳しい状況が続いている。「ENEOS」を全国に展開する石油元売業界最大手のJXTGエネルギー株式会社では、この経営課題を解決すべくデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造に力を入れている。ここでは業務のRPA化も含めた、JXTGエネルギー株式会社のデジタルトランスフォーメーションの取り組みを紹介する。

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JXTG Case Study Solution Overview

【課題】最新ERPによる基幹システムの刷新とデジタルプラットフォームの構築

JXTGエネルギー株式会社は「ENEOS」を全国に展開する石油元売業界最大手である。1980年代に約15社あった石油元売会社は国内需要の減少を背景に、この40年の間に合併を繰り返し、現在は5社になっている(2019年9月現在)。 そして同社においても1888年に創業した日本石油と三菱石油が1999年に合併。その後2010年に新日鉱ホールディングスと経営統合、さらに2017年には東燃ゼネラル石油と統合という歴史を持っている。

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JXTGエネルギー株式会社 IT戦略部 デジタル推進グループマネージャー 赤池 博 氏

石油の国内需要に関しては、1994年に約60,000箇所あったガソリンスタンドが2017年には約半分に減少しており、この厳しい状況の中で新たな柱となる事業の創出が急務となっていた。そこで同社では、ITを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)をJXTGグループ全体で推進している。その取り組みは、経済産業省が発表する「攻めのIT経営銘柄2019」に選ばれるほど高く評価されている。 同社のDX戦略について、IT戦略部 デジタル推進グループマネージャー 赤池 博氏は次のように語った。「DXとは競争優位性の確保です。当社では新規事業を創出する時間を確保するためにも、統合前に異なる会社で使われてたシステムを共通化し、デジタルを徹底的に活用した『既存事業の最適化』が必要となってきます」

具体的にはグループの情報を一元化するERPにSAP S/4HANA®を採用し、事業を可視化する基盤を作り、デジタルプラットフォームのインフラとしてクラウドサービスを選択した。そして「既存事業の最適化」の一環としてRPAの検討が始められた。

【ソリューション】SAPとの親和性、統制機能、使いやすさでRPAを選定

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JXTGエネルギー株式会社 IT戦略部 デジタル推進グループ シニアスタッフ 鳥巣 雅之 氏

RPA導入のきっかけとなったのは、2017年秋に開催されたUiPathのイベントであった。そこで紹介されたメガバンクや大手広告代理店におけるRPAの活用事例が、同社の業務にも応用できるのではないかとRPAの導入が企画された。RPA導入に向けて最初に行われたのはRPAツールの選定だった。主要RPAベンダー5社から、あらゆる角度で比較検討が行われた。UiPathを選定した理由について、IT戦略部 デジタル推進グループ 鳥巣 雅之氏は次のように説明する。「UiPath Orchestratorでの統制機能、エンドユーザーでも使い易いユーザーインターフェイス、コスト面などから一番バランスが良かったのがUiPathだったのですが、最大の決め手となったのは『SAPとの親和性』です。その他にも、UiPathが提供するクラウド上に構築する推奨構成や導入ガイドがあり、当社の構築に関しても必要なものがそろっていました」

同社ではDXでの成長戦略の一環としてデジタル化トライアル予算を確保している。PoC(概念実証)を経て、2018年度を同社のRPAにおけるデジタル化トライアルと位置付けて展開を進めていった。多くの部署、多くの人にRPAを知って欲しいという想いから、40以上の部署に対し、10回以上に分けてRPA導入に向けた説明会を実施、さらにデモ動画を作成するなど、社内へのRPAの啓発活動を積極的に実施している。RPAで何ができるかなど、機能・特徴を理解した上で本社各部にRPA化業務の公募をかけ展開していった。

【導入効果】RPAで14,000時間削減と4,000時間の品質向上

2018年度はトライアルとしながらも、28部署に対して52業務のRPA化を実施した。同社におけるRPAの活用事例をいくつか紹介する。

レポート作成の自動化

従来、OLAPシステムからデータをダウンロードし、出荷の速報、顧客別の売り上げ実績などのレポートを作成するためにExcelに貼りつけVLOOKUPを使って、各々でレポート作成を行っていた。個々でレポートを作るため表もバラバラであったが、RPA化することで作業の標準化や自動化を可能にした。しかし効果はそれだけではない、RPA化する過程においてRPAが読み取りしやすい配列にすることを部門間で入力するデータ位置を決めるなど、横連携によるBPRとしての役割も担うことができた。

注文内容の登録を自動化

元々、合併前は異なる会社だったため、注文のフォーマットが異なっている。また一部のガソリンスタンドでは未だに手書き、FAXでの注文書が1日約10,000件存在する。それを今までは人の手で一つひとつ確認し手作業でデータ登録をしていたが、AI-OCRを活用してCSVファイルを作成し、ロボットがシステムに自動登録するようRPAを適用。まだトライアル中ではあるが、年間約8,000時間が削減される見込みだ。

これらの積み重ねにより、2018年度は合計で年間14,000時間を削減した。もっとも、これまでは手間がかかるため月次でしかできなかった定型業務が、RPA化することによって週次や日次でも可能になったなど、品質を向上させた業務もある。これらを含めると削減時間は18,000時間にのぼる。

また同社では日常的にRPAを活用し、野良ロボットが発生しないように定期的なユーザーアンケートを実施している。そのアンケート結果について、IT戦略部 デジタル推進グループ 井部 良太氏は「ユーザーのコメントとして多かったのは定量的な効果だけでなく、作業ミスの減少、別業務への時間の創出、業務負荷の軽減、作業効率の向上などの、定性的な導入効果への反応が多かったです」と、実際のコメントを交えて定性的な効果を説明した。

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JXTGエネルギー株式会社 IT戦略部 デジタル推進グループ 井部 良太 氏

【今後の展望】ユーザーの要望を先回りし、価値の高い時間を創出

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JXTGエネルギー株式会社 IT戦略部 デジタル推進グループ 担当マネージャー 鈴木 悟 氏

RPA導入により、すでに大きな成果を収めている同社ではあるが2019年度は35,000時間の削減を目標とし、その取り組みに妥協はない。また削減時間をより正確に算出するために、同社ではRPAの検証にも注力し、ユーザーからの申告だけでなく実際の作業ログと作業時間をかけ合わせてモニタリングを行っている。その先を見据え、同社のデジタル推進グループがトライアルするのは、「CoE(Center of Excellence)」、「EUC(End User Computing)」、「プロセスマイニング」の3つである。その根底にあるのは徹底したユーザー目線だ。「さまざまなデジタルテクノロジーを組み合わせ、ユーザーの求めるものを迅速に示したい」と語るのは、IT戦略部 デジタル推進グループ 担当マネージャー 鈴木 悟氏だ。鈴木氏が次に期待を寄せるのは、今後UiPathが提供開始を予定している「StudioX」だ。「RPAはある程度のITリテラシーが必要になるが、StudioXはそうでないユーザーでも使えそうだ」と高く評価している。また「RPA化する業務を募ったときに感じたのは、積極的には声をあげないユーザー層の声も拾ってあげたいということでした。プロセスマイニングを使って業務を可視化し、ユーザーの要望を先回りして、新規事業などロボットにはできない付加価値の高い業務にあてる時間を増やして、みんなが幸せになれる仕組みを作りたい」(鈴木氏)

JXTGグループでは「2040年には石油の需要は半減する」と予測し、RPAをはじめとしたDX戦略において既存事業の業務の効率化による「キャッシュフローの最大化」を着実に進めてきている。このような取り組みがさらに広まることで、従業員の業務をより付加価値の高い業務にシフトし、市場の変化に合わせて進化していくであろう。

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