[Salesforce®初心者でもできる!UiPathによるオペレーションの自動化] Vol.1

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連載開始にあたり

Salesforce関連業務の効率化を目指しているがUiPathではどのように自動化できるのか・・・Salesforceの画面操作をロボット化し業務の効率化を図っているが、Salesforceアプリが頻繁に更新されるのでロボットの動作が安定しない・・・。Salesforce連携ソリューションでいざワークフロー開発を始めたはいいけれど使い方がわからず、周囲に相談できる人もいないし、あきらめつつある・・・。

この様なことに悩まれたことはないでしょうか。

「現在検討中でUiPathでの実現方法を知りたい」「導入済みで動作を安定させる方法を知りたい」という声や、「自動化案件に取り組みたいが自身はSalesforceの有識者ではないため不安だ」「Salesforce関連業務の自動化に最低限必要な知識をまとめて知りたい」という声を多く耳にします。

本連載では、Salesforceにまつわる業務の自動化に取り組まれる方に向けて、 Salesforceの基礎から、筆者も現場で活用しているSalesforce連携ソリューションの概要および開発ノウハウまで、幅広くお届けいたします。

連載のコンテンツは次の通りです。

[Salesforce®初心者でもできる!UiPathによるオペレーションの自動化]

《基礎編》

  1. UiPathにおけるSalesforce連携概要(本記事)

  2. Salesforce連携ソリューションを活用するための基礎知識1

  3. Salesforce連携ソリューションを活用するための基礎知識2

《Activity編》

  1. UiPath StudioへのActivity導入と使い方の基礎

  2. オブジェクトCRUD操作の基本

  3. 取引先責任者(Contact)の操作

  4. ケース(Case)の操作

  5. 商談(Opportunity)の操作

  6. ユーザ(User)の操作

  7. ファイルUploadと関連付け

  8. ファイルDownload

  9. レポートの実行と結果の取得

  10. Chatterへの投稿

  11. メール操作

  12. 行動(Event)とToDo(Task)の操作

  13. 複合一括リクエスト

  14. Bulkによる一括登録

  15. ボタンアクションの実行

  16. ドキュメントの作成

《Connector編》

  1. UiPath Connector for Salesforce接続設定方法

  2. Salesforceの状態変化に連動した見積書の作成

  3. Connectorテンプレート(キュー)による効率のよい連続処理

記事の内容を活用すれば、最低限の知識でスマートな実装ができるようになると思います。

早速ですが、最初のお題から始めたいと思います。

UiPathにおけるSalesforce連携概要

Salesforceまわりの自動化実装について、インターネットで収集した情報は断片的で、他にどんなものがあるのかわからない・・・

このように、開発に着手する前に「全体像をとらえたい」と思われたことはありませんか。

スクラッチで開発すれば解決できるかもしれないけれど、あるものを上手に使って効率よく開発したい、そのためには全体を俯瞰したいという思いに至るのは自然なことだと思います。

今回は

  • 連携ソリューション概要

  • システム構成と各部品の適用箇所

をお届けします。

読み終わった後、自動化案件に必要な部分を安心して見定められるようになっていると思います。

連携ソリューション概要

UiPathのSalesforce連携ソリューションはSalesforce、UiPath双方に組み込む部品から成り、双方からのリアルタイムな連携を可能にしています。

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1つ目のUiPath Salesforce Activities Pack(以降、Activity)は、Salesforceへの各種操作(登録,取得,更新,削除)を自動化するアクティビティです。UiPath Studioでプロジェクトに組み込んで、ご利用いただきます。こちらはUiPathマーケットプレイスで公開中です。

2つ目のUiPath Connector for Salesforce(以降、Connector)は、Salesforce内で起こる各種イベント(案件クローズ、取引先新規作成など)をトリガーとして、UiPath Robotを起動させるAppExchangeアプリです。ご契約のSalesforceに組み込んで(組織単位)、ご利用いただきます。こちらはSalesforce AppExchange®日本で公開中です。

次に個々の詳細をご説明します。

UiPath Salesforce Activities Pack

機能面では、カスタムオブジェクト(Custom Object)を含むSalesforceオブジェクトに対する、登録・更新・削除・取得が可能な部品を提供しており、幅広い操作シーンをカバーしています。 デザイン面では、右下の図がUiPath Studioでプロジェクトに組み込んだときのイメージです。日本語化されており直観的に選択できるようになっています。

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Activityは次のような特徴があります。それぞれの特徴の詳細について、ご説明します。

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  • ActivityはSalesforce社が公開しているAPI(Application Programming Interface)とデータ通信しています。そのため、Webブラウザを介さず高速にデータを処理することが可能です。

  • Webブラウザを介さないことは、ブラウザのフリーズや画面項目の描画待ち合わせといった、ブラウザ由来の処理遅延から解放され、ロボットのエラー率を大幅に低減できます。

  • ちなみに、弊社環境ではActivityを使わないワークフローに比べて1件当たりの処理速度は25倍以上速いこ

    とが確認されました。

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  • Webブラウザを介さずに処理しますので、Web UIのデザイン変更の影響を受けません。Salesforce社の定期アップデート後に突然ロボが動かなくなったといった心配は不要で、安定して動作します。

  • データ通信はすべて暗号化(HTTPS)されており、安全に利用できます。

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  • Salesforceへの通信制御や電文編集といったAPIを呼び出すためのプログラムコードは不要です。

  • 下図はActivity設定時の例ですが、Web画面で見慣れた項目名を表示してくれますので、値を設定する対象に迷いません。

  • サンプル値が表示されるため、普段扱っていない項目も意味が推測しやすくなっています。

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  • 下図の通りWeb画面項目の操作が不要なため、ワークフローのステップ数を抑制できます。

  • ステップ数の抑制は、開発,テスト,エラーチューニングの期間短縮(工数削減)に波及し、開発生産性が向上します。

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UiPath Connector for Salesforce

ConnectorはSalesforceのプロセスビルダーまたはフロービルダーに組み込んで使用します。Salesforce内で起こる各種イベント(案件クローズ、取引先新規作成など)をトリガーとして、Robotを起動させることが可能です。Robotの起動はOrchestratorを介します。

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上図は1件対応でRobotを起動する例を示していますが、ConnectorはOrchestratorのキューにも対応しており、大量データの並列処理も可能です。

Salesforceへの組み込みは「ノーコード」のため、全て設定だけで完結します。

UiPath RobotだけでSalesforceの状態変化にリアルタイムで対応するには、ポーリングが必要となり長時間ライセンスを占有しますが、本コンポーネントはこれを解決し「リアルタイム連携」「ライセンス効率最大化」を実現します。

また、設定画面は日本語化されており直観的に設定できるようになっています。

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システム構成と各部品の適用箇所

最後にActivityとConnectorを取り巻くシステム構成と、各部品の適用箇所を整理しておきたいと思います。

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Activityを使ったワークフローの開発はStudioが必要です。完成したワークフローはパッケージ化(パブリッシュ)して、Orchestratorアップロードもしくはローカルフォルダに保存する必要があります。

Connectorを使ったロボット連携を行うためには、OrchestratorおよびUnattended Robotが必要です。

ConnectorはSalesforceプロセスビルダーに組み込み、Orchestratorキューへのアイテム投入、もしくは、Orchestratorに対しワークフロー(Orchestrator上のプロセス)を指定してUnattended Robotの起動を依頼します。Unattended RobotはConnectorより指示を受けたワークフローを実行し、Activityによりデータ取得/更新、および、社内システム群をオペレーションします。

Connectorを使わずにロボットを実行するためには、Attended Robotが必要です。

Attended Robotは人から起動指示をうけてワークフローを実行し、Activityによりデータ取得/更新、および、社内システム群をオペレーションします。

まとめ

今回はUiPathが提供するSalesforce連携ソリューションの全体像、および、ソリューションの特徴についてお届しました。

皆様が取り組まれる自動化案件の準備材料として、お役に立れば幸いです。

最後に今回の記事の中で取り上げた部品のリンク先などをお知らせします。

Activityの公開先 (UiPathマーケットプレイス):

https://marketplace.uipath.com/ja/listings/salesforce-activity-pack

Connectorの公開先 (AppExchange日本):

https://appexchangejp.salesforce.com/appxListingDetail?listingId=a0N4V00000FZh4JUAT

Salesforce連携ソリューションご案内:

https://www.uipath.com/ja/solutions/technology/salesforce-automation

その他連携ソリューションご案内:

https://www.uipath.com/ja/solutions/application-cooperation-solutions

次回は「Salesforce連携ソリューションを活用するための基礎知識1」として、最低限知っておくべきSalesforceオブジェクト基礎知識をお届けします。

※SalesforceはSalesforce.com,Incの商標であり、許可のもとで使用しています。

 

また、UiPathでは、本記事で解説した内容に加えて、CRM/SFAの定着化のためのRPA活用について、実際の事例や、UiPathの連携ソリューションについてご紹介するeBookを無料で公開しています。eBookは下記よりダウンロードください。

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Topics:

Salesforce
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Hidetaka Obata

Senior Sales Engineer, UiPath