お客様大日本印刷株式会社

業種製造

地方アジア太平洋&日本

新たな価値を創出する企業改革として、RPAによる風土改革

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大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、言わずと知れた世界最大規模の総合印刷会社である。しかし今、大きな時代の変化のなかで製造業、および印刷業界を取り巻くビジネス環境も大きく変化してきている。そうした環境の変化の中で、DNPでは自主的に変化を生み出し、社会貢献につながる新しい価値を生み出す「第三の創業」を目指している。その取り組みの一つが、業務を自動化するRPAの導入だ。ここでは同社のRPAについての取り組みを紹介する。

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【課題】新たな価値を創出する 「第三の創業」に向けての取り組み

DNPは、その前身である秀英舎を1876年に創業(第一の創業)し、出版印刷を中心に事業を行ってきた。その後、戦後の混乱期に厳しい環境に直面しながらも印刷技術の応用、つまり印刷する対象を紙からフィルムや金属などに拡げることで、証券印刷からパッケージや建材、エレクトロニクス製品までを手がける世界でも稀少な総合印刷業へと変革してきた。これを同社では「第二の創業」と呼んでいる。そして今、印刷業界のみならず製造業を取り巻く大きな時代変化の中で、第二の創業を超える「第三の創業」へ挑戦している。この「第三の創業」を実現する施策の中で、企業が生まれ変わるための「新たな価値を創出」する活動が行われている。この活動として、ITを活用した働き方改革や業務改革が検討され、その手段の一つにRPAの活用が挙げられた。このRPAプロジェクトのリーダーである情報イノベーション事業部 情報化推進部 部長 山頭 理氏によれば、RPA以外にも社内のコミュニケーションを変えていくためのツールや、テレワーク、ペーパーレス化など「新たな価値を創出」することを目的とした業務改革を推進するプロジェクトが様々なカテゴリーで検討され、全社一丸となって「第三の創業」に向けて挑戦しているという。

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情報イノベーション事業部 情報化推進部 部長 山頭 理 氏

【ソリューション】導入の決め手は拡張性を前提とした UiPathの製品ラインナップ

業務の自動化としてRPAに目を付けたDNPだが、下記のようなプロセスによるRPAの実装を試行している。

  1. 個々の業務をAttended Robotsで自動化し、まず、一定の時間効果を確保する。

  2. 業務プロセスの見直しを行う。

  3. Unattended Robotsにて人とロボットの業務を分離する。

このような3つのプロセスを経ることで、人とロボットの分業を達成したいと考えている。その目指す方向性において、RPA製品の選択にはさほど時間がかからなかった。山頭氏はこう説明する。「最終的な目標は自動化できる業務を切り出しての集中的な管理です。しかし、取り扱う業務の大半はユーザーの細部で行われており、センター業務だけを集中的に動かすツールでは不十分で、個別業務にも訴求できるツールが必要でした。UiPathの製品ラインナップは、Attended Robotsによる一部自動化からUnattended Robotsによる完全自動化まで対応し、シームレスにライセンスの移行ができる拡張性がある。また、UiPath Orchestratorによる統合管理も可能。さらに価格を考えると、UiPathが最も取り組みやすいツールでした。」

そして、UiPathを使ったPoC(Proof of Concept: 概念実証)が2017年8月から7週間かけて行われた。PoCの中では、現行の社内システムでRPAロボットがどのような作業ができるのか、また、ロボットを導入した際の投資対効果の算定に焦点が当てられた。その結果、2017年11月にRPAプロジェクトが開始され、プロジェクト全体管理を行う「管理グループ」、技術面の課題解決と運用管理を行う「基盤グループ」、各部署の業務のRPA化を推進する「推進グループ」が組織されていった。

【導入効果】時間削減だけではない RPAの導入効果を実感

RPAプロジェクトの発足から徐々にロボットを展開していき、2018年4月から計画的に本格導入が開始された。RPAに限らずだが、新しいテクノロジーの展開方法はまず、パイロット部門を作り、その成功体験をもって横展開をしていくという方法が多い。しかし、DNPでは最初から全ての部門に対して間口を広げている。それは全ての部門に対して平等かつ、業務を効率化したいという意欲さえあれば利用可能な環境を目指しているためだ。また同社では毎月、日本全国の拠点を対象としたRPA推進会議をテレビ会議で開催しており、そこでRPA導入の進捗状況、事例や情報の共有が行われている。 それ以外にもRPA活動のためのポータルサイト運用や初心者向けの勉強会なども行われており、あらゆる角度からRPAが社内に浸透し、RPAの導入は加速度的に伸びているという。(山頭氏)

RPA導入の効果は、とにかく削減時間に目を向けられがちな傾向があるが、DNP社内で調査したユーザーアンケートでは、RPA導入の効果として「意識の変化」「業務改革の進行」「風土改革」などが挙げられた。RPAプロジェクトで管理グループをリードする、情報イノベーション事業部 価値創造プログラム推進事務局 局長 島田 幸一氏は下記のように説明する。

意識の変化

RPAに任せられる定型業務は初めから任せ、自分は他の業務に専念しようという意識の変化など、多角的な考え方ができるようになった。

業務改革の進行

そもそも現在行っている業務の手順に改善余地がないか、過剰なアウトプットがないか、RPAの取り組みが業務全体の見直しのきっかけとなった。

風土改革

担当者が一人で抱えていた業務のRPA化の過程で、初めて業務が「見える化」され、上長や前後のプロセスを担当するメンバーとの情報共有ができるようになった。RPAという共通の課題があることで社内のコミュニケーション量が増え、風土改革に繋がった。

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情報イノベーション事業部 価値創造推進本部 価値創造プログラム推進事務局 局長 島田 幸一 氏

【今後の展望】2019年9月末までに1,000業務、 15,000~16,000時間削減を目指す

DNPのRPAプロジェクトは、終了期限の2019年9月末時点で1,000業務、月間15,000~16,000時間のロボットへの業務移行を目標としている。この目標に向かって、時間の大きい業務、小さい業務を取り混ぜて1業務平均0.1人月となるようにプロジェクトを進めていくという。個々の組織や俗人的な業務の中に点在している自動化可能な要素を絞り出し、人とロボットの完全分業を実現することで、筋肉質な組織作りにつなげていきたいと山頭氏は語る。また将来的には、ロボットに移行した業務と、基幹システムを合わせ見て、業務システム全体の再構築を検討していきたいと続けて説明した。

山頭氏はこれまでの結果を振り返って、自社のRPAプロジェクトの進め方に印刷業の仕事の仕方と共通性を感じると語る。RPAプロジェクトは、時間効果の大きいものから小さなものまで、限られた期間と投資の中で様々な案件に取り組んでいる。この考え方は、顧客毎に仕様や部数が異なる様々な案件を、一定の投資規模で消化する印刷業のビジネスの形態を図らずも模したような形となっている。状況に応じて、「走りながら考えていく」進め方ではあるが、RPAの導入を進める上で、「他社の参考になれば幸いです」と語る。

また、島田氏は、今後の方向性について、RPAの導入を社内改革だけに留めず、自らがパイロットとなることで見いだされた「新たな価値」の一つとして社会に提供していきたいと説明した。

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