お客様三井情報株式会社

業種IT

地方アジア太平洋&日本

基幹システムのクラウド化において直面したAPI連携の“隙間”の問題をRPA活用によって効果的に解消

三井情報株式会社 Main Image

10,000

1日あたり1万件にのぼる入力処理を自動化

3カ月

基幹システム早期稼働を目指し3カ月という短期で導入

20~30

入力作業に要する20~30名の人員を0に

システム構築をはじめとするITサービスの提供で知られる三井情報では、Salesforce Sales CloudとSAP S/4HANA Cloudを採用した基幹システムの刷新プロジェクトに着手。その中で、現状提供されているAPIだけでは必要なデータを連携しきれず、膨大な人的リソースによる「転記」作業が不可避であることが判明。そこで、同社はUiPathの導入により当該作業を自動化することで問題解消することに成功した。

CHALLENGE:API連携をめぐる想定外の問題で1日1万件の入力作業が必要に

その一環として同社では、政府の発信する「クラウド・バイ・デフォルト原則」を自ら体現すべく、基幹システムの刷新プロジェクトに着手。物販やサービスといった業務プロセスの標準化をはじめ、営業から約定、財務会計、プロジェクト管理に至るパイプライン管理、さらにはデータ活用による業績管理などを念頭に、次世代クラウドERPであるSAP S/4HANA Cloudと顧客管理・営業支援サービスであるSalesforce Sales Cloud(以下、Sales Cloud )の採用による基幹システムのSaaS移行へと舵を切った。

そこでは、SAPが提唱する「Fit to Standard」手法を用いたBPR(Business Process Re-Engineering)により、個社機能を排除してシステムの再レガシー化しない仕組みの実現を目指す一方、幅広い製品・サービスを取り扱うという業態のために異なる業務プロセスが混在していた営業管理をSales Cloudに一元化し、データをSAP S/4HANA CloudへAPI経由で連携。これにより、営業部門ではSalesforceへの入力のみで複数システムへの入力が完了する「シングルインプット/マルチアウトプット」の実現が目指された。

「ところが、SAP S/4HANA Cloudが当時まだリリース間もないこともあって、その段階で公開されていたAPIだけでは、一部のSales Cloudの画面項目はSAP S/4HANA Cloudへデータ連携できないことが判明しました。どうしても人手による『転記』作業が必要になるという問題に直面したのです」と三井情報の壹岐文一氏は明かす。実際に試算してみると、1日あたりの入力作業は1万件にものぼるもので、当該作業を人手でこなすという運用を続けていくことは同社にとってきわめて困難であり、何としても回避せねばならなかったという。

SOLUTION:画面レイアウトの変更にもスムーズに対応できるRPA

こうした課題に対する検討を進めた三井情報が、その解決策として考案したのが膨大な作業量となる人手による入力をRPAの導入によってまかなうというアプローチだった。早速同社では、具体的なRPA製品の比較検討に着手。その結果、採用を決めたのがUiPathのRPAプラットフォームだった。検討にあたって同社では、トライアルとして実際にUiPathを稼働させて検証を行ったが、2週間にわたる連続稼働においても一貫して安定的な動作が確認できたという。

さらに採用の重要な決め手となったのが、UiPathでは構造認識という独自のアプローチで、画面オブジェクトを指定してデータ入力を行うという仕組みになっていたことだ。「SAP S/4HANA Cloudでは、クラウドの特性を活かして4半期に1度のペースでアップデートが行われており、それに伴って画面レイアウトも頻繁に変更される可能性があります。構造認識型のUiPathなら、そうした画面変更にもスムーズに対応していくことが可能でした」と壹岐氏は説明する。

加えて、RPA自身で柔軟なAPI実装が可能であることもUiPathの大きなメリットだった。Sales Cloudからのデータの抽出をAPI経由で行えることはもちろん、今後、SAP S/4HANA Cloud側でAPIが拡張された際に、画面入力からAPIによるデータ連携へと設計変更を行うことも想定されるが、そうした要請にもUiPathなら簡便に対応していけることになる。「さらにSales Cloudのほか、クラウドストレージサービスであるBoxや、ServiceNowのデジタルワークフローソリューションなど、利用を想定している周辺システムとの連携モジュールが用意されていることもUiPathの大きな魅力でした」と壹岐氏は言う。

三井情報株式会社 Case Study Body Image

BENEFIT:20~30人規模の人員配備が不要にRPA導入で絶大な効果を享受

三井情報では基幹システムの早期稼働を目指し、大半のUiPathのRPA導入を3カ月という短期で完了。システム構成としては、「UiPath Orchestrator」が稼働する中央管理サーバーの配下にUiPath Robots 40台が稼働し、処理を実行するというかたちとなっている。これらUiPathのRPAプラットフォームが介在して、Sales CloudとSAP S/4HANA Cloudの間の受発注業務の連携を実現している。

「当社では、Sales Cloud上に独自の受発注システムを追加実装しており、当初はそこからSAP S/4HANA CloudのAPI経由で受発注のデータを書き込んでいくことを想定していましたが、既存のAPIだけでは対応できない部分について、UiPathのRPAが処理をまかなうかたちになっています」と三井情報の伊丹暢氏は語る。具体的には、担当者がSales Cloud上で随時入力している受発注情報を、UiPathがCSVファイル形式でダウンロード。その内容をSAP S/4HANA Cloudの画面へとRPAで転記入力する、ないしはAPI連携を行ってSAP S/4HANA Cloudへと反映させるという流れである。

「実際に人手で対応しようとすれば、おそらくは20~30人規模の人員を配備して対応する必要があったと思います。そうした作業を人手なしでこなせていること、さらに大量のマニュアルインプットでは避けられない入力ミスを回避できているなど、RPAがもたらした成果は大きいと感じていいます。」と伊丹氏は強調する。

また三井情報では、こうしたSales CloudとSAP S/4HANA Cloudの連携以外のシーンでもUiPathのRPAを役立てている。例えば、所定の時刻にSAP S/4HANA Cloud上で夜間バッチ処理や日中バッチ処理を起動するというジョブコントロールを行っているほか、SAP S/4HANA CloudからPDF帳票をダウンロードして印刷するといった操作、ダウンロードしたPDF帳票をBOX上に存在する各営業担当者用のフォルダに格納していくといった処理もRPAにより自動化している。

さらに、UiPath RPAの実行結果をAPI経由でServiceNowにデータを送り、RPAの稼働分析や問題管理に活用し、速やかなインシデント対応も可能としている。

基幹システムのクラウドシフトへと舵を切る中で想定外の問題に直面。救世主となってくれたRPAを今後も幅広い業務に適用し、効率化を進めていきたい。

三井情報株式会社ソリューション技術本部クラウドソリューション部第四技術室室長 壹岐 文一 氏

NEXT:SaaS化を推進する中でRPAは不可欠なソリューション

今回の成果を踏まえるかたちで、三井情報では今後も、より広範な業務領域におけるRPAの適用を検討していく構えだ。それに向けたRPA活用にかかわるノウハウや知見も確実に蓄積されてきているとのこと。中でも、同社がいま積極的に取り組んでいる、自ら「クラウド・バイ・デフォルト原則」の体現に向け、各種業務システムのSaaS化を推進していくうえで、RPAは不可欠なソリューションであると位置づけているという。

「SaaS化の推進においては、利用するSaaS同士の連携が重要なポイントとなります。その際、APIによるサービスの接続が原則となるわけですが、そこでは思うように連携が実現できないというケースが少なからずあります。UiPathのRPAは、そうした“隙間”を効果的に埋める、きわめて有効なソリューションであると確信しています」壹岐氏。今後もUiPathに大きな期待を寄せていることを、あらためて強調する。

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